点数評価 | 85点 |
プレイ状況 | ゲームクリア |
プレイ時間 | 約12時間 |
発売日 | 2021年9月16日 |
対応機種 | Switch/Steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | STUDIO HG |
発売元 | CREST |
ジャンル | ローグライト・コアアクションゲーム ジャンルの考え方 |
METALLIC CHILD (メタリックチャイルド)は、戦闘,演出,ビジュアルなど様々な面においてハイクオリティな3Dアクションゲームだ。ただし、プレイヤーが上達するにつれて単調さが目に付いて来る。また、ゲーム内容はプレイヤーの操作技術に依存する部分が多く、ローグライクとはいえリプレイ性は低い。悪く言えば底は浅い訳だが、その底に辿りつくまでの体験は極めて上質であり、クリアまで一気に駆け抜けたくなる面白さを持っている。ストーリー拡張のDLCは、ステージ構成を捻らなければ評価を下げそうな予感がする。
METALLIC CHILD (メタリックチャイルド)は、インディースタジオ“STUDIO HG”が開発した見下ろし型の3Dアクションゲーム。インディーでローグライク系のゲームというと、武骨で尖った作りなために取っ付き難く、常連客以外には愛想の悪い飲食店のような雰囲気のゲームが多い。
しかし、METALLIC CHILDはそれらとは一線を画しており、アニメ製作会社のTRIGGERによるアニメーションPVをはじめ、敵も味方も完全フルボイス,分かり易いストーリー,結果に影響は及ぼさないものの豊富なプレイヤーへの問いかけ(選択肢)など、実にプレイヤーにフレンドリーで、間口を広げた作りとなっている。また、アクションゲームとしてはやや難しい部類だが、難易度は4段階用意されており、アクション初心者への配慮も忘れていない。
武器切り替えと投げの爽快アクション
METALLIC CHILD は、広義でいう所のローグライクな要素を持つ見下ろし型の3Dアクションゲームであり、さらに8体のメタリックチャイルド(ボスキャラ)から、プレイヤーが自由に選択して挑むというロックマンスタイルのステージ選択が特徴的だ。
ローグライクゲームということで、ステージはランダムに変化する小部屋の連続で構成されており、部屋に入ると出入り口がロックされ戦闘が開始する。敵メカを全て撃破するとロックが解除されるので、次の部屋進んで戦闘を繰り返す。各層は100%探索しても良いし、十分に主人公ロナを強化できた判断するのであれば、さっさと次の層に進んでも良い。ステージは基本的に3層で構成されており、層間の中ボス2体を倒し、最後に選択したボスを倒せばステージクリアとなる。
なお、部屋にはランダムでショップやNPCが出現する。ショップで敵を倒して集めた資金を消費して買い物したり、NPCから突発クエストを受注して成功すれば報酬を得ることが可能となっている。この辺りは一般的なローグライクゲームでは馴染み深い作りなので、何らかのローグライクゲームを遊んだことがあるプレイヤーであれば、すんなりと受け入れることが出来る仕様だろう。
ロナは見かけこそ幼い少女だが、ガントレット,ハンマー,ソード&シールドという3系統の武器を、自由自在に使いこなすことができる。巨大な武器と非戦闘用の幼い見た目のギャップの組み合わせついては、プレイヤーが地球からリモート操縦でサポートしているという設定でしっかりとフォローされている。
手数が多いガントレット,1撃が重いが隙の大きなハンマー,唯一ガードが出来るソード&シールドと、それぞれの武器系統に特徴があり、各武器には固有のスキルが設定されているので、プレイヤーはボス戦を見据えてメインとサブの武器を選択していく。また、どの系統の武器を選んだ場合でも、無防備ながらも敵を掴んで投げ飛ばすことが可能となっている。
戦闘においては、いずれの系統の武器であっても、攻撃ボタンの連打で簡単にコンボを繋げることが出来る。そしてコンボは、いつでも投げや武器固有のスキル攻撃に繋げることができ、更にはスキル攻撃はいつでもローリングやガードでキャンセル可能となっている。加えて、武器を切り替えると自動で持ち替え先の武器のスキルが1回発動するため、操作に慣れて来ると、武器切り替えも組み込んだ流れるような連撃が可能となる。
敵の耐久力は高めで、攻撃を上手く繋ぐことが出来るようになる前提。
連打から強ムーブに繋げて緊急回避で離脱という、流れるようなアクションは爽快感が抜群だ。また、部屋ごとに戦闘結果を評価されるのだが、ダメージを受けない程に評価が高くなり報酬内容も良くなるため、ロナを操る悦びと高評価を得るための緊張感を同時に享受できる。時折挿入される、テイクダウンやコア入手のクールな演出も、プレイを盛り上げてくれるだろう。
なお、スキル攻撃を繰り出したり、回避やガードをするためには、ロナの下に表示されている“バッテリー”というゲージを消費することになる。バッテリーは敵を攻撃することで溜まって行くため、回避やガードという防御行動を取るためにも、積極的に通常攻撃を当てる必要がある。つまり、保守的な立ち回りは許されず、攻め続けることが前提のシステムとなっており、戦闘はザコ戦でも忙しく、高耐久力で怯まない大型のザコが混じった場合には難易度が一気に上がる。ピンチに陥った場合には、ボスから入手したMCスキルが強力なので、使用回数に制限があるがそれを使って切り抜けていくことになる。
アクションゲームが苦手な場合、ノーマル難易度でも本作のクリアハードルは高い。幸いにもノーマルから下に2段階、難易度の低いモードが用意されいるので安心だ。更に1段階上の難易度も用意されているので、腕に自信があるプレイヤーはそちらに挑戦しよう。
ローグライクだが、プレイヤーの操作技術の依存度が高い
METALLIC CHILDには3系統のバフ効果が用意されており、それらが如何にもローグライクらしい仕様だ。その3系統は、ステージに関係なく持ち越せる恒久的なバフ、選択ステージだけで永続するバフ,効果時間が設定されている限定的なバフとなっている。
恒久的なバフは、ローグライクゲームの定番である、ステージ脱出後も維持される通貨(チップ)による基礎ステータスの底上げだ。ロナの体のパーツをアップグレードすることで、体力やMCスキルのエネルギー効率をなどを向上させることができる。1回のレベルアップで得られる効果は僅かだが、積み上げていけばゲーム終盤にはそれなりに効果を感じられるだろう。
ただし、チップのドロップ量が渋いために強化の速度は遅いく、クリアまで順調に進んだ場合はアップグレードだけではゲーム難易度が変わる程の強化は得られないだろう。どちらかと言えば、なかなかボスが倒せないが、難易度を下げることもしたくないプレイヤーの救済的な役割が強い。腕に見合った適正な難易度の場合、そこまで大きな恩恵は無い。
次に、ステージ内だけで限定的に永続するバフとして、スーパーコアというシステムがある。経験値に相当するコアエネルギーを一定量貯めることで、ランダムに提示される4種類のバフ効果から一つを選んで取得できる。スーパーコアには武器系統や武器の属性に依存する強化項目が多く用意されているので、入手できた武器に合わせて選択していくことになる。最終的にはレベル10まで育成可能だ。
最後に、効果時間が設定されているバフ効果として、ミニコアというシステムが用意されている。ステージ内で永続の“スーパー”コアに対して、“ミニ”コアということで効果時間が設定されている。ミニコアは最大で3種類を装備することができ、大きなシナジー効果を発揮することから、METALLIC CHILDにおいて最重要なバフ効果となっているが、効果時間が設定されているお陰でシナジー効果を発揮し続けることは難しい。
ミニコアは、敵を倒した際のランダムドロップ,補給ボックス(宝箱),ミニコアチャージャーで入手可能となっており、それなりの頻度で入手することができる。しかしながら、効果時間は短く、戦闘に手こずっていると僅か1戦で効果が消えてしまうこともあるだろう。ただし、ミニコアの効果時間は、同じ効果のミニコアを入手するか、ミニコアチャージャーを使用することで延長することができ、さらにその効果を強化することが出来る。
ミニコアによってロナを強化することができれば、当然ながら戦闘で高評価を取り易くなり、評価が高ければ報酬でミニコアチャージャーが出現しやすくなる。ミニコアチャージャーが出現すれば、効果時間を延長した上でミニコアの効果も強化できる。そうなれば、戦闘能力が向上したことで、さらに高評価が取り易くなったうえに、戦闘時間が短くなりミニコアの消費も抑えられる。つまり、ミニコアの強化と戦闘高評価のサイクルが廻っていく訳だ。
ミニコア間のシナジーを維持しつつ、高レベルなミニコア装備した状態でボスまで到達出来た場合は、ボスを一瞬で撃破することも可能だ。下の動画は、スキル1回でバッテリーを全て消費する代わりに、スキルの威力を大幅に強化するドーピング(Lv.6で320%アップ)と、バッテリーの消費が無くなる無限バッテリーを組み合わせて、高威力なパイルドライバーを連打している様子。ボスが第2形態に入った際に張るバリアを解除した後は、10秒かからずフィニッシュムーブまで持って行っている。
このように、ミニコアの効果延長&強化と戦闘高評価のサイクルを回し続けることが出来れば、一気にクリアが可能となっている。しかしながら、戦闘結果が高評価でもミニコアチャージャーの出現率はそこまで高くないため、3種類のミニコアを高レベルで維持し続けることは中々に難しい。時には取捨選択をしたり、妥協も必要になって来るのはローグライクらしい側面だろう。
結局は運が全てと考えるかもしれないが、その考えは間違えである。サイクルの廻り初めにはプレイヤーの腕前が重要であり、操作技術が伴っていない場合には中ボスでミニコアを途切れさせることが多い。また、ミニコアチャージャーを温存して、どのタイミングで使うかという判断も非常に重要になって来る。ミニコアを維持できるかどうかは、プレイヤーの操作技術と判断力に大きく依存度しており、運が良ければサイクルがさらに加速すると理解してもらいたい。操作技術が伴ってくるとミニコア3個はともかく、ミニコア2個の維持は比較的に容易になって来る。
当然下振れもあるが、ローグライクは運ゲーに非ず定期。
3つのミニコアを維持するために、高速かつ高評価な戦闘を繰り返すシステムはオリジナリティが高く、新鮮なローグライク体験を楽しむことが出来た。
なお、ミニコアには取ることでロナにデバフを与えるバグコアも隠れている。動作が遅くなる,被ダメージが増えるといった、一般的なデバフ以外にも、画面上にスパム広告が表示されてUIや敵が見えなくなるという、なんとも今風な効果が発生することも。他にも、頭部だけが巨大化する,マインクラフトのキャラクターのような見た目になるなど、ユニークな効果が用意されている。
ステージ毎の個性の無さが難点か
METALLIC CHILDは、プレイヤーの実力が試される難易度が高めのゲームでありつつも、前述の通りにミニコアを維持できるようになると、サクサクと敵を倒せて気持ちが良いゲームだ。
アクション面では特に不満は無いのだが、ステージが単調になりがちな点はマイナスポイントだろう。3層+中ボス2体+ボス1体という構造は全ステージで共通で、連続する小部屋で回避不可能な戦闘を延々と繰り返すため、それを8ステージで繰り返すとなると、アクション面の出来が良くても流石に飽きを感じてしまう。
RPG系のローグライクゲームであれば、進行に合わせて出現アイテムが異なったり、逃げるという選択肢も含めて難所を乗り切る展開もあるので、似たようなステージの連続でも飽き難い。しかし、METALLIC CHILDの場合は、プレイヤーの腕前に依存する部分が多いために、コツを掴むまでが早いプレイヤーほど飽きやすいと推測する。
幸いにも、プレイヤーによっては単調なプレイフィールになることを、開発陣も理解しているのだろう。追加で出現する2体のメタリックチャイルドは、どちらも画面奥から迫って来る敵と戦うシューティング系の特殊なステージとなっている。また、ボス“ギガンティック”は、そのサイズから対面で戦うような構図になったり、各ステージにはボスの特徴を反映したようなトラップが設置されるなど、何とかマンネリを打破しようとする工夫が見受けられる。
乗り物ステージを挟んだり、トラップでステージ毎の差別化を図ったりすることは有難いのだが、ステージ毎に更にドラスティックな変化が欲しかったところである。もしくは、せめて武器系統をもう一つ増やして、ステージ毎の一部の敵に、得意不得意な武器系統を明確に設定しても良かっただろう。
ステージ構成は、“ローグライク”に引っ張られ過ぎた感。
アクション面以外にも、ビジュアル変更の種類が豊富なうえに、フルボイスで進行するストーリーや各場面での演出は豪華に仕上がっている。ステージ構成や武器系統の少なさによりやや減点となるとはいえ、METALLIC CHILDが優れたゲームであることには間違いない。手頃な価格で高品質なアクションゲームを遊びたい人にはオススメしたい作品だ。
なお、ヴィジュアルブックやサントラが付いた1万円の限定版は買って良かったと思っている。が、有料DLCが確定しているなら、“DLCコードも付けて欲しかった”というのがクリア後の正直な本音である。
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