点数評価 | 90点 |
プレイ状況 | ノーマルエンドでクリア |
プレイ時間 | 約7.5時間 |
発売日 | 2022年6月17日 |
対応機種 | Switch/Steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | Angel Matrix |
発売元 | Annapurna Interactive |
ジャンル | ハイペースな一人称視点のアクションゲーム ジャンルの考え方 |
Neon White (ネオンホワイト)は、スクリーンショットだけを見ても面白そうに感じることは無いし、プレイ動画を見ても楽しいのかどうか判断し兼ねるゲームだ。FPSとハイスピードアクションの組み合わせに少しでも興味を持ったのであれば、恐れずに飛び込んで欲しい。自信をもって名作だとオススメできる。タイムアタック系のゲームにしては珍しく、会話パートが充実し、1枚絵が豊富に用意されている点も評価が高い。
Neon Whiteは、天国の悪霊退治をテーマにした、ハイペースな一人称視点のアクションゲーム。射撃がメインのFPSでありながら、武器を捨てることで移動系スキルが発動するというユニークさがウリ。名作インディーゲームのパブリッシングで大きな信用を得ているAnnapurna Interactiveから発売。
初心者から上級者まで楽しめるFPS&3Dプラットフォーマー
まず最初に、Neon Whiteは見た目で損をしているゲームであることを伝えたい。ゲームの主人公であるネオン・ホワイトは、般若面を付けたネクタイ白スーツという奇抜な格好で、銃と刀を獲物に暴れまわる。ちょっと痛いティーン向けライトノベルの登場人物のような設定だ。
そんな主人公が戦うデーモン(悪霊)達は、単色グラデーションに意匠の意図が見えない形状で、お世辞にも格好良いとは言えない。また、ゲームの舞台はローポリゴンという程ではないが、2022年に発売されたゲームとしては全体的にグラフィックの水準が低い。
そんなデーモンを攻撃する手段は、銃の絵が描かれたソウルカードだ。カードから弾が飛び出し、設定された弾数だけ射撃ができ、さらに弾数が残っているうちにカードを破ると移動系のスキルを発動できる。
やや粗末なビジュアルと、武器カードを破ったら移動スキルを出せるFPSという、これら二つの前情報だけでは正直なところ、地雷ゲームでは無いかと疑って手を出しにくい。
それならば、実際のプレイ動画を見るとどうだろうか。下の動画はとあるステージを最高評価でクリアした時の動画だ。
動画を投稿した本人は疾走感があるとか、判断が面白いとか書いているものの、実際にプレイせずに動画を見ただけでは、『動かない敵を僅かばかり撃ちながら、良く分からない高速移動?ワープ?を発動しまくって、気が付いたらゴールしている』ゲームにしか見えないだろう。
このように、Neon Whiteは前情報、スクリーンショット、動画だけでは面白さは伝わりにくいゲームだ。しかし断言したい。グラフィックさえ目を瞑れば、非常に優れた作品なのである。
見ているだけでは面白さが伝わらないNeon Whiteだが、まずはプレイフィールが、2021年1月28日に発売されたGhostrunner (ゴーストランナー)に似ていることを伝えたい。
ゴーストランナーは、どんな攻撃で一撃で即死する激ムズ3Dニンジャアクションゲームだったが、Neon Whiteは無敵時間こそ短いものの2ミスまでは許容されいる。攻撃手段が射撃メインになり、難易度を下げたゴーストランナーのようなゲームだ。そう聞くと、ゴーストランナーを楽しめた人であれば一気に興味がわいてくるのではないだろうか。
敵が単調な点、クリアだけならスタイリッシュさを捨てれば何とかなる点、移動系スキルが豊富な点なども類似している。また、Neon Whiteはクリアまでに99ステージも用意されており、難易度の上昇は緩やかで、小さな階段でプレイヤーの成長を着実に促すようなレベルデザインも類似しているだろう。
ゴーストランナーは最初のステージから異常な難易度だったが、Neon Whiteの序盤は非常に優しい。
ゴーストランナーと最も異なる点は、攻撃手段を破棄して移動スキルを発動するという仕様だ。ハンドガンなら空中ジャンプ、ショットガンなら任意方向へダッシュ攻撃、ロケットランチャーならワイヤーグラップリングなど、武器毎にスキルが設定されており、最大で2種類を3回分スタックして所持できる。
攻撃手段を捨てることにはなるが、そのお陰で高台に移動したり、オブジェクトを破壊して道を作ったりすることが出来るというアイデアは新鮮だ。また、動画でも分かる通り、スキル発動時の移動速度は凄まじく、それに射撃を組み合わせると止まっている的に当てるのも難しくなってくる。しかし、それを上手く制御できるようになると、他のFPSでは味わえない疾走感を楽しむことが出来る。
前項にて、スタイリッシュさを捨てればクリアできると書いた通り、Neon Whiteはクリアだけであれば難易度は高くない。敵の攻撃間隔は長く、その場を一切動かないので、難所であれば一旦立ち止まり、無理せず敵から距離を取って1体ずつ倒していけばクリアできる。
各ステージにはクリアタイムに応じてブロンズ、シルバー、ゴールド、エースの4段階の成績が設定されており、確実にクリアを目指せばブロンズランク、止まらずにクリアできればシルバーランク、何となく格好良くクリアできれば(大体は)ゴールドランクとなる。ガチガチにやり込まなくても、見かけ上はゴールドランクを与えてくれるので、アクション初心者でも満足感のあるリザルトを演出してくれることは嬉しい。
一方で、最上位のエースを取得しようとすると、難易度が一気に跳ね上がる。適当なプレイでも届くゴールドとは異なり、高速移動スキルで詰めれる場所は確実に詰めて、ギリギリの足場からジャンプして連続でスキルを使うなど、大幅なショートカットも開拓しなければならない。
攻めるべきショートカットのヒントを教えてくれる親切な機能が用意されているものの、L,R,ZL,ZRの4ボタン+スティックを精度良く操作する必要があり、『分かっていても後少しを間違える』という現象に何度も悩まされるだろう。
また、多くのステージでは射撃無しでもクリアできるようになっており、本気でタイムを狙いだすと、FPS要素が殆ど無くなり、完全にハイスピードな3Dプラットフォーマーゲームに変貌する点も面白い。
ゴールドランクまでは比較的簡単に取らせ、プレイヤーから自信と欲を引き出してから、リプレイのエースランク狙いに誘導するデザインが何とも秀逸だ。
『どうせ苦労するんだろう』と心の中でも理解しつつもチャレンジしてしまう。
1ステージは短ければ15秒、長くても2分ぐらいのステージが多く、比較的同じ場所を集中して練習できるのも、リプレイ性の高さに繋がっているだろう。
プレゼントとサイドクエストで、更に2回楽しめる。
Neon Whiteはゲーム本編をクリアする以外にも、『ステージ内でプレゼントというアイテムを見つける』、『サイドクエストという高難易度のステージ』という遊びが用意されている。
まず、Neon Whiteは前述の通り99ステージも用意されているが、その殆どのステージにプレゼントが隠されている。そのため、単純にエンディングを迎えただけでは、達成率は半分にも届いていない。
プレゼントはステージ内の通常では届かない箇所に設置されており、まずはステージを1回クリアすることで可視化される。可視化されたプレゼントを目視するまでは比較的容易だが、そこに到達するためには、ソウルカードを温存したり、通常ルートを大きく逸れて回り道したりと、ちょっとした工夫が必要だ。
遠くに見えるプレゼントに向かって足場ギリギリから飛び出し、スキルを駆使して手を伸ばすプレイフィールは、本編クリアとは全く異なってくる。
プレゼントに到達するルートを探すという別の遊び。
プレゼントを集めて対応するキャラクターに渡すことで、サイドクエストという高難易度ステージがアンロックされる。なお、プレゼントの収集は真エンディングのフラグにもなっているので、まずは1回クリアしてから再挑戦しよう。
プレゼントでアンロックされるサイドクエストは、本編よりもかなり難易度が高く設定されている。本編でも足場のない空中をソウルカードの連続破棄で移動し、空中で取得したソウルカードの効果でさらに空高く移動するという展開は多々ある。しかし、それらのシーンでは、事前にソウルカードを温存することで難易度を下げることができたし、カードの使う順番を間違っても、アドリブでリカバリーもできた。
一方で、サイドクエストの場合は、ソウルカードに余裕は無く、正しい手順で移動スキルを発動させなかった場合は即落下する。また、発動のタイミングを間違えればトゲに刺さって即死する場所も多い。アクションというよりも、解法を見つけるパズルアクションのようなプレイフィールだ。非常にシビアなアクションを求められるため、本編とはまた一味違ったアクションシーンを楽しむことが出来るだろう。
このようにNeon Whiteは、第1項で示した本編の通常クリアと、ついつい誘導されてしまうタイムアタックに加え、第2項で示したプレゼント、サイドクエストという遊びが用意されており、一粒で四度美味しいアクションゲームと言えるだろう。
和製ゲームを彷彿させる会話パート
Neon Whiteは、ストイックなタイムアタック系ゲームに見せ掛けて、実は会話パートが長い。
主な登場人物は、クールでミステリアスな美女ネオン・レッド、キュートだがサイコなネオン・ヴァイオレット、バカ担当のネオン・イエロー、謎に満ちた恐るべき暴君ネオン・グリーンとなっており、何れも曲者揃いだ。主人公ネオン・ホワイトは記憶をなくしており、他の登場人物に散々振り回され続けるという展開となる。
シンプルにスピードランのアクションパートしか求めていない人には、ADVパートの読み物は蛇足に感じるかもしれない。実際に筆者もADVパートには全く期待していなかったが、ローカライズは完璧で、ドタバタしたキャラクター同士の掛け合いは意外にも楽しめた。
また、ADVパートの要所では一枚絵が用意されており、さらに英語ながらフルボイスである。ADVパートはオマケで用意されているのではなく、それなりに力を入れて作られたものであることが良く分かることだろう。
以上のように、Neon Whiteは見た目で損をしているが、アクションゲーム初心者から上級者まで、ハイスピードなFPSと3Dプラットフォーマーを楽しむことが出来る名作だ。気にはなっているが、二の足を踏んでいるという人は、どうか当記事の評価を信じてプレイして欲しい。
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