点数評価 | 85点(オンライン経験有) 75点(オンライン経験無) |
クリア時間 | 約25時間 |
プレイ状況 | クリア |
プレイ時間 | 約25時間 |
発売日 | 2022年9月25日 |
対応機種 | Switch/PS4/PS5 |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | B.B.スタジオ |
発売元 | スクウェア・エニックス |
ジャンル | RPG ジャンルの考え方 |
ネタバレ | なし (オリジナルNPCに言及) |
筆者はドラゴンクエスト10 オンライン版をVer4の冒頭まで経験している。累計プレイ時間はメイン・サブ合わせて約5000時間。レグナード、ダークキング、メイヴといったエンドコンテンツの最高難易度は実装されたバージョンでクリアし、ツボ・ランプ錬金と素材転売で巨万の富を得てレンダーヒルズも販売初日から入手するような、結構な廃プレイヤーだった。そんな筆者のオフライン版の感想は“悪くない”である。オンライン未経験者向けというよりも、姿を変えてでもドラゴンクエスト10をオフラインで残して欲しいというオンライン経験者に受けが良いだろう。オフライン化による数々の歪が目に付くかもしれないが、“敢えて最適化をしない”という選択肢を取った作品なのだ。資料としてオンライン作品を後世に遊べる形で残すという野心的な挑戦を評価したい。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
クソグラと嘆かずにプレイしよう
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 (ドラクエ10,DQX) オフラインは、2012年8月2日に発売されたDQXオンライン版をベースに、オンライン要素を排除して一人用に作り替えた作品だ。オンライン版とは異なり、デフォルメされた二頭身キャラクターが採用されている点が、多くのプレイヤーの不安を煽る結果となっている。
まず、多くのプレイヤーは、購入前に“二頭身デフォルメキャラクター”に不満を抱いただろう。DQXオンライン版は、2012年の時点で既にハードとして末期だったWiiで発売されたこともあり、グラフィックは決して良いものでは無かった。しかし、装備によって見た目が変わり、髪型や見た目専用の装備、装備の部分的な染色によってオシャレを楽しむことができたので、一定の評価を得ていた。
オフライン化するにあたり、どのような制約があったのか不明だが、評価を捨て去って二頭身のちびキャラで作り直しが断行されている。当然ながら、キャラクターの等身が変わったことで、それに合わせて建物や洞窟も全て刷新されている。そして、その作り直されたグラフィックは、2022年9月時点の一般的なゲームの水準に照らし合わせると、簡単に表現すればクソグラである。これは誰であっても否定できない事実だ。
そんなクソグラなDQXオフライン版だが、実際にプレイを開始すると意外と悪くない。DQXオフライン版は、DSで発売されたDQⅨの表現が多少豊かになった程度のグラフィックだ。DQⅨも当時は“グラフィックがちょっと・・・”という印象を持っていたが、序盤を乗り切るころには一切気にならなくなりプレイとすれ違いに没頭した。それと同じように、DQXオフライン版も実際に遊びだせば何も気にならなくなり、いつも通りのドラクエを楽しむことが出来る。
ファンメイドゲーム界隈では、あえて昔のプラットフォーム風にリメイクする、“デメイク”という変わった遊びが存在する。メジャーなのは、PS4のBloodborneをPS1のようなガビガビのローポリゴンで再現したBloodbornePSXだろうか。DQXオフライン版は、そのようなファンメイドではなく、公式が据え置き機のゲームを携帯機風にデメイクした作品と受け止めても良いだろう。
“DQXはドラクエではない”や、“ドラクエらしくない”などと、いったんオンラインで発売されたことに対する、懐古的なファンの怨嗟が聞こえてくるが、あれはデタラメな論評なので無視するべきである。すぎやまこういちの名曲を聴きながら、面倒くささと面白さの鬩ぎ合いのような、たらいまわしをさせられるストーリー展開はまさにドラクエ体験だ。不当な低評価は無視して、携帯ゲーム機でドラクエの新作が出たとでも思ってプレイすれば良い。
ゲームの大部分はデフォルメされたちびキャラで進行するが、一部のイベントではオンライン版のシーンがそのまま使われている。装備で見た目が変化する主人公が登場しないイベントシーンは、新たにデフォルメキャラで作り込むよりも、オンライン版のシーンをそのまま差し込んだ方が、製作の都合上で楽だったのだろう。
ストーリーラインが既に完成している作品の流用で8,580円取るのだから、頑張って全てをデメイクしてもらいたかったと考える一方で、オンラインのイベントシーンをサービス終了後も可能な限り残す試みという意味ではありかもしれない。オンライン版の経験の有無によって、シーンの流用に関する評価は分かれそうである。
オフライン化の歪、あるいはオンライン版の保存
オンラインゲームは単純にゲームをクリアして終わりではなく、出来る限りゲームに人を繋ぎ止めるために、非常に多くのコンテンツが用意されている。DQXオンラインであれば、コンテストや仲間内の会話で盛り上がる釣り、低確率遭遇&レアアイテムドロップの転生モンスター、アクセサリー合成で最大値を目指すなどが該当する。これらはオフライン化の際にオミットしても良かったはずだが、律儀にそのまま引き継がれている。
これらを全てコンプリートするとなると、オフラインゲームにしては少々ボリュームが在り過ぎると感じるかもしれない。PS版であればトロフィーと絡んでくるため、トロコンを狙っているのであれば作業感で疲れる可能性もある。そのため、コンプリートを意識せずに程々に遊ぶ方が良いだろう。
魔瘴で変貌したエスタークと戦える神話編は残念ながらカット。
釣り、転生、アクセサリー合成といったコンテンツをオフライン版にも持ってくるのはまだ分かるが、旅人のバザーやランプ・ツボ錬金といった、オンライン前提のコンテンツも用意されている。旅人のバザーはまだ使用頻度が少ないだけで辛うじて機能しているが、錬金設備については機能していないにもかかわらず、街中でかなりの面積を占有して異彩を放っている。
本来の旅人のバザーは、プレイヤー同士が自身で値付けしたアイテムを売買する場所だが、DQXオフライン版では定期的にランダムな品物が並ぶショップになっている。品揃えの更新頻度が低いので活用する機会は少ないが、一応システムとしては機能している。
一方で、ツボ・ランプ錬金については、ギルドが新規職人の募集を停止しているとして、設備はあるものの全く機能していない。オフライン版で初めてDQXをプレイした人は、錬金と言われても何のことかさっぱりであり、ギルド施設や街中に設置された大量の職人設備から、強引に、あるいは手抜きでオンライン化したという印象を受ける可能性が高いだろう。
鍛冶・木工・裁縫は、賢者ホーローから特別な鍛冶道具を譲り受け、ギルドに所属することなく街中で製作可能。
オンライン版未経験者には、度を越して充実していたり、利用できず不自然さを感じる数々のコンテンツだが、オンライン版を散々遊んだ筆者としては、むしろその歪さが好印象だった。
DQXオフライン版は、オンラインゲームをオフライン化して保管する試みだと筆者は捉えている。オンラインゲームはサービス終了と共に消えてしまう運命だが、ドハマりしたゲームの軌跡が姿を変えつつも残るという事実が嬉しいのだ。
結局のところ、オフライン版と言いつつもオンライン経験者向けファンアイテムという側面が強く、オンライン未経験者であれば、評価を下げるものの及第点にギリ届く作品と言ったところだろう。従って、85点(オンライン経験有)、75点(オンライン経験無)と点数を分けた次第だ。
随分と優しくなった難易度
さて、グラフィックをデメイクだと受け止めて、多少の不自然さに目を瞑れば十分に遊べるDQXだが、戦闘バランスについては大きく手が加えられており、DQXを初めてプレイするなら丁度良いかもしれないが、オンライン版経験者からすると少々簡単になり過ぎていると感じるかもしれない。
DQXオンライン版の特徴と言えば、何と言っても難易度の高い戦闘だろう。操作キャラクターが敵モンスターと干渉し、重さの優劣によって押し引きするいわゆる“相撲システム”が特徴的であり、それに関連するシステムにマスクデータが多く難易度が高かった。
相撲は見た目こそコミカルなものの、ボスのランダム2回行動、一定時間ターゲットに攻撃できなかった際に発生する“ターンエンド攻撃”、一定時間押され続けた際に発生する“押し反撃”など、開示されていない攻撃パターンの把握が困難だった。そこにターゲット管理やヘイトコントロール(怒りの解除の判断)といった被弾調整も必要なので、理解者以外は相当にレベルを上げるか、上級者に手助けしてもらわなければクリアが難しかったのだ。
しかし、オンライン版では相撲は無くなり、完全にターン制コマンドバトルにアレンジされているので、難易度は大幅に低下している。“一人でもクリアできる”という言葉を信じてオンライン版を遊んだものの、サポート仲間ではクリアできずに投げてしまったという人は、改めてプレイしても良いだろう。レベルアップ時のステータスの伸びも大きいので、行き詰ったとしても少々レベル上げをすれば直ぐに打開できるはずだ。
今オンライン版を遊ぶと、サポートが強すぎて余りに簡単にクリアできてしまうので注意。
DQXオンライン版の思い出と聞かれた人の多くは、“レベル上げ”と答えるのではないだろうか。バージョンが進むにつれて大幅に緩和されていったレベル上げだが、DQXのサービス開始直後は、難易度の高さと相まってレベル上げがメインコンテツと言っても過言では無いぐらいに、多くのプレイヤーが経験値稼ぎに没頭していた。
こぞってタコメットを狩ったり、ガルバ・ゴルバを手名付けて仲間呼びをさせたり、魔法の迷宮ではぐメタコインと自滅用ボスコインを使って高速周回したりと、如何に効率良く経験値を稼ぐかを考えること自体が楽しみの一つであり、目まぐるしく情報が共有・アップデートされていく様は、まさにオンラインゲームの醍醐味だった。
未プレイ時間がチャージされて、経験値が2倍になる元気玉が貰えるというシステムもユニークだった。
そんな経験値稼ぎだが、オフライン版では序盤から福引にてメタキン軍団コインというものを手に入れることができるので簡単だ。メタルキングの全体攻撃“キングプレス”に耐えることが出来るHPさえ確保できるレベルになれば、魔人斬りやヒューザの必中改心相当の必殺技で経験値を楽々稼げるようになっている。
DQXオンライン版バージョン1の最初期は、特定のモンスターをマナー悪く専有するような光景も見られたが、オフライン版では関係のない話。オンライン版経験者であれば、このような思い出深いモンスターを眺めて感慨に耽るのも楽しみ方の一つだ。
ちなみに、レベルアップ後の育成はDQⅪのようなスキルパネル方式となっている。ダーマ神官によるスキル割り振りや、宝珠によるスキルリセットといった面倒な仕組みは排除され、どこでも少額のゴールドにてパネル解放のやり直しが出来るようになっている。
主人公は従来通り転職して職業毎にレベルを上げることになるが、仲間には様々な職業を複合したようなスキルが用意されている。例えばダストンであれば、ランダムに遊び効果を発揮する遊び人をベースに、ルカニやバイシオンと言ったバフデバフ呪文を覚え、パネルではハッスルダンスによる回復を覚えたりと旅芸人の特徴が目立つ。さらにピオリムや盗む、お宝ハンター相当の必殺技ガラクタハンターで盗賊の特徴を持ち、道具を範囲化するどうぐ使いの特徴も習得できる。武器はこれらの職に準拠して、ハンマー、短剣、ムチとなっている。
DQXオンライン版のボス戦の定番と言えば、NPCがボスまで付いてくるものの、”周りのザコは俺に任せてボスはお前が!”的なことを言い、戦闘をプレイヤーに丸投げされる展開だ。NPCの戦闘参加はバージョンが進むにつれて次第に追加されていったが、Ver1では用意されていなかった。
しかし、DQXオフライン版では、当然ながら他のプレイヤーと協力プレイは出来ないので、代わりにNPCが一時的に戦闘参加するシーンが大量に追加されている。ナブレットやチリといった、ボス戦手前まで来るものの何もしなかったNPCはしっかりと戦闘に参加する。また、ダストンの助手であるポツコン1号や、ウェナ諸島の調査員であるキンナーといった、戦闘員には見えないキャラクターも一時的にパーティに加わってくれたりと、意外な展開を楽しむことも出来る。
豊富な種類のNPCと旅を楽しめると聞くと、DQXオンライン版経験者が気になるのはやはり過去編だろう。種族を人間に変更しなければサポートキャラクターに登録できず、しかもボスであるラズバーンの強さも相当だったので、リリース当時の過去編はソロプレイヤー泣かせだった。そんな過去編では、幼きヒメアと、オフライン版で追加されたガミルゴの娘ガルミィと共にラズバーンに挑むことになる。キャラクターが追加されたおかげで、新規会話シーンも多く追加されているので、オンライン版経験者も楽しめるだろう。
評価ポイントのまとめ
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフラインは、クソグラなうえにオフライン化の歪も散見される作品だ。しかし、グラフィックは少しプレイすれば慣れるし、JRPGとして十分に面白い。オンライン版経験者にとっては、歪=思い出であり感慨深い。
長所
- JRPGとしての面白さ
- NPCとの共闘シーンの多さ
- オンライン版を保存するという価値
短所
- グラフィックの悪さ
- オンラインに思い入れが無ければ理解できない施設・仕様の数々
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