【全巻】ダンジョン飯1~14巻が50%還元中!

【Astrea Six-Sided Oracles】レビュー: ダイスのランダム性をデッキ構築力でねじ伏せるデッキ構築型ローグライク

点数評価90点
クリア時間約20時間
プレイ状況全6キャラクターでクリア
プレイ時間約22時間
発売日2023年9月22日
対応機種Steam
プレイ機種Steam
開発元Little Leo Games
発売元Akupara Games
ジャンルダイス&デッキ構築型ローグライクゲーム
ジャンルの考え方
ネタバレ無し
総評/評判/感想

Astrea Six-Sided Oracles(アストレア シックスサイディッド オラクルズ)は、手札にカードの代わりにダイスを使った、ランダム性の高いデッキ構築型ローグライクゲームだ。ただし、ランダム性が高いことは運ゲーであることを意味する訳ではなく、プレイヤーによる制御可能な部分も多く、プレイヤーがダメージを負うような目であっても何らかの使い道がある。そして上手くデッキを組んでシナジーを発揮できれば、ランダム性など無視して一方的に有利な展開に持っていくことができる。まさに、ランダム性をデッキ構築力でねじ伏せるデッキ構築型ローグライクである。独特のダメージシステムも秀逸で、StSやVotVを遊び尽くした人も新鮮な気持ちでプレイできるだろう。

【総合評価】
革新性
ユーザビリティ
ビジュアル
サウンド
プレイ継続性
コストパフォーマンス

第3の至高に到達したデッキ構築型ローグライクゲーム

まず最初に伝えたいことは、『Astrea Six-Sided Oracles(ASSO)』は、『Slay the Spire(STS)』及び『Vault of the Void(VotV)』に続く、第3の至高に到達したデッキ構築型ローグライクゲームであるということだ。

2019年1月23日に発売され、長らくデッキ構築型ローグライクの王者として君臨し続けて来た『Slay the Spire』だが、2022年10月5日にStSからランダム性を排したようなゲームデザインの『Vault of the Void』が登場したことで状況が変化した。StSとVotVはどちらも甲乙付け難く、デッキ構築の揺らぎも楽しみたいのであればStS,計画通りに理想のデッキを作り上げること重視するのであればVotVという具合に、プレイヤーの好みによってどちらがより優れているかについては評価が分かれている。

そしてVotVの登場から約1年、2023年9月22日に発売された『Astrea Six-Sided Oracles』は、カードの代わりに6面ダイスを用いてデッキを構築するローグライクゲームだ。スターターデッキからゲームを開始し、戦闘やイベントを経てボスまでにデッキを構築していくという様式は先達を踏襲しているものの、手札が6面ダイスということは、デッキから引いた手札は毎回1/6の確率で効果が変化するという大きな特徴を持っている。

Astrea Six-Sided Oracles ルート分岐
見なれたルート分岐マップ。

つまり、ある程度のデッキ構築のランダム性を備えたStSに、更にダイスの出目によるランダム性をミックスしたようなゲーム制になっており、立ち位置的にはランダム性を大きく排したVotVの対極であると言えるだろう。

Astrea Six-Sided Oracles ダイスの選択
カード1枚に6種類の効果があり、ランダムに発動すると思えばわかりやすいはず。

しかし、“ダイスだから運ゲー”と結論付けることは浅はかだ。本作では、自身のダイスの出目だけではなく敵のダイスの出目までも対象にしたリロールや、出目を上書きすることによるリスクのコントロールが可能だ。また、被ダメージと与ダメージを反転させて下振れが一転して上振れになったり、センチネルと呼ばれるお供の援護で被害を軽減したりと、単なるダイスによる運勝負とはなっていない。

Astrea Six-Sided Oracles 鍛造
ショップやイベントで、鍛造というアクションで出したくない目を潰すことができる。

また、この手のゲームにしては珍しく、ボス前に体力回復ポイントが設置されていることも特徴的だ。プレイヤーがある程度まで出目に干渉できるとは言え、どうしても下振れすることはあるだろう。しかし、このように回復ポイントが用意されているので、“運が悪くてクリアできない”などと言い訳が出来なくなっている。

Sara
Sara

ボス戦は長期戦になり、敵味方合わせて通算で何十個もダイスを振り、更にリロールも頻繁に行われるので出目は平準化される。平準化されるまで耐えられないデッキを組んだことが敗因なので、“ボス戦で運が悪かった”という言い訳は通らない。

次に、「ランダム性がある=運ゲー」ではないということを認知してもらいたい。ランダムとは意志や感情を交えないこと無作為性のことであり、これは道中でデッキに加えるダイスや、バフ効果をプレイヤーに与えるレリックに相当する“祝福”の出現傾向に関係する。

そして運ゲーとは、「プレイヤーの介入余地が無い状況で、確率依存でプレイヤーの命運が決まるような状況に追い込まれるようなゲーム」である。一般的なデッキ構築型のローグライクは、各種要素の出現傾向がランダムであったとしても、プレイヤーには3つの選択肢が与えられている。しかも本作は、選択をスキップすることでゲーム内通貨を入手でき、ショップにおける買い物に利用可能だ。3択に加えて、デッキを膨張させずに通貨を得るという選択肢まで用意されており、例え提示がランダムであったとして、全く選択肢が無いという状況が続くことは有り得ない。

Astrea Six-Sided Oracles 祝福選択
効果が気に入らなければ、スキップすることで通貨を得ることができる。

実際に筆者の場合、ゲームをクリアできなかったプレイでは、自身のプレイングやデッキの構築について毎回反省点が見つかり、全キャラクタークリアまでに一度たりとも“運が悪かった”などと感じたことはない。一見は運に左右されたように見える場面であっても、そのような運頼みの状況に陥っている時点でデッキ構築を失敗しており、しっかりとメカニズムを理解していれば“どうにもならない”という状況に陥ることは無い。つまり本作は、当レビュー記事のタイトルにも記載している通り、“ダイスのランダム性をデッキ構築力でねじ伏せることができる”ローグライクなのである。

Sara
Sara

もしどこかで、“Astrea Six-Sided Oraclesは運ゲー”などと評している記事を見つけても信用しないように。ローグライクというジャンルそのものに対する理解力が足りない可能性が非常に高い。

なお、ローグライクゲームにダイスの出目によるランダム性をミックスしたゲームは幾つか存在する。当サイトでレビュー済みの物であれば、『Dicey Dungeons』や『Curious Expedition 2』がそれに相当する。興味があればそちらも参考にしてもらいたい。

浄化と堕落を押し合うデュアルダメージシステム

ダイスによる手札の構築が特徴的とはいえ、単に運ゲーではないデッキ構築型のローグライクというだけであれば、十分な革新性を持っているとは言えないだろう。しかし、『Astrea Six-Sided Oracles』は、敵味方がダメージを与えあうシステムそのものが独特だ。

本作には2種類のダメージが用意されており、プレイヤーによる与ダメージは浄化、敵による与ダメージは堕落と呼称される。そして浄化は何もターゲットを敵に限定する必要は無く、自分に当てれば回復として作用する。一方で堕落はプレイヤーに対する攻撃であると同時に、敵にとっての回復も兼ねている。

Astrea Six-Sided Oracles 戦闘シーン
青色は浄化、赤色は堕落を現わしているので直感で分かりやすい。赤と青の混色はターゲット固定。

次の動画は、序盤のシンプルな戦闘シーンを示したものだ。まず、自ターンはデッキから4つのダイスを引いており、 2つが青色の浄化(与ダメージ/回復)、もう2つが赤色の堕落(被ダメージ/敵回復)となっている。浄化のダイスを攻撃と回復にそれぞれ1つ使い、残り2つの堕落のダイスは被ダメージまたは敵が回復というデメリットが発生するので、それらはリロールしている。リロールの結果、1つは同じ目が出てしまったがもう1つはダメージ強化に置き換わったので、 ダイスを1つだけを堕落から浄化に反転できる特技を使い、さらに強化のダイスを使ってから敵に大ダメージを与えている。

Sara
Sara

序盤の1ターンであっても、上記のように文字に起こすと結構な分量を考えなければいけない。しかし、慣れて来るとこの辺りはスムーズに流せるようになってくる。

ちなみに、StSやVotVでは敵の攻撃力の分だけシールドを積むことが基本だが、本作の場合は敢えて敵に対してシールドを積むことが多い。自分にシールドを張ってダメージを防ぐ以外にも、相手が自身に堕落を与えて回復することや、敵が堕落を蓄積することで発動できる絶対堕落という大技を発動することを防ぐために使うのだ。

なお、説明を分かりやすくするために敢えてダメージと書いたが、厳密にいうと浄化と堕落のゲージの押し合いとなっている。画面下部に7マスのゲージが用意されており、堕落を受ける度にゲージが左に進み、浄化を受ける度にゲージを右に戻すことができる。また、本作はストック制が採用されており、7マス分の堕落を蓄積されるとストックを一つ失うことになる。

Astrea Six-Sided Oracles 強力な敵の攻撃
このスクリーンショットであれば、敵の攻撃予告は堕落7なのでシールドで軽減せずに喰らうと即死してストックを1つ失う。

また、ゲージの上には幾つかのアイコンが示されているが、これらはその位置まで堕落にゲージを押されると使えるようになる特技を示している。前動画ではダイスをリロールするシーンがあるが、それは堕落にゲージを1マス押された際に発動できる特技となっている。

堕落によるゲージの押され具合によって4つの特技が使用可能であることから、ダイスで堕落の目が出たとしても役に立たないという訳ではなく、敢えて反転させずに自傷に使って特技を発動するという使い方も頻繁に行う。つまり、StSやVotVと異なり、被ダメージを完全に防ぐことに躍起になる必要は無く、浄化と堕落のゲージの押し合いを敵味方の1ターン内でしっかりと読み切ることが重要なのだ。

余裕をもって堕落を蓄積させていると、いつまで経っても一番強い特技を発動できず、逆にギリギリまで堕落を蓄積させた際に計算ミスや見落としたシナジーがあるとストックを失うことになる。このように見かけはダイス勝負なのだが、他のデッキ構築型ローグライクの例に漏れず、プレイヤーは毎ターン算数のお勉強である。

浄化と堕落を押し合うデュアルダメージシステムに似たようなものは、他のデッキ構築型ローグライクでは見たことが無く、仕様に慣れるまではコントロールが難しい。様々なデッキ構築型ローグライクを遊んできた猛者であっても、新鮮味を感じながら楽しめるだろう。

奥深い構築を楽しめる6人のキャラクター

『Astrea Six-Sided Oracles』には、6面ダイスに因んで6人のプレイアブルキャラクターが用意されている。共通のダイスも勿論存在するが、6人のキャラクターにはそれぞれ専用のダイスが登場し強烈な個性を放っている。それぞれのキャラクターが全く異なるメカニズムを持っているため、基本ルールは同じあるもののキャラクター毎に戦い方が全く異なり、プレイヤーは頭の切り替えに悩まされるだろう。

Astrea Six-Sided Oracles ソティス
5人目まではクリアできなくても順次解放される。

また、いずれのキャラクターも専用のバフとデバフを複数個持っており、それらを全て覚えるのは大変だ。しかし、難解なメカニズムを把握し、さらにダイスのランダム性を見越して思い通りにシナジーを発揮できるようになった際の達成感は大きい。この手のデッキ構築型ローグライクは、頭を使えば使う程に上手くなる感覚が味わえる知的な遊戯であるが、そのような過程で得られる満足度は本作がStSやVotVを凌駕する。

キャラクター解放の度に投入される新しいメカニズムやシナジーは、人によっては疲弊することが懸念される程の量である。しかしながら、デッキ構築型ローグライクは覚えることや考えることに主眼を置いた作品であるため、筆者のようなゲームの全ジャンルの中でもローグライクが一番好きと言うようなタイプであれば、このボリュームは嬉しい限りである。

なお、日本語翻訳には怪しい部分が多少あるため、何度か理解が追い付かなかったことも事実だ。意味が分からなくても1回使ってみれば大体意味を理解できるが、その1手が命取りになるのはデッキ構築型ローグライクゲームでは良くあることだ。ただし、この手の作品は何度も失敗を繰り返してプレイヤーが学習するものなので、多少のリトライは織り込み済みとして受け入れた方が良いだろう。

Sara
Sara

★5としつつも100点ではなく90点にした理由は、翻訳の精度である。

折角なので、2種類の特徴的なキャラクターの戦闘風景を、動画を交えて紹介したいと思う。

まず次の動画は、ターンエンドに浄化を与える安堵と堕落を与える苦痛という、相反するバフとデバフを操る「ソティス」というキャラクターを使っている様子だ。安堵によるターンエンド毎の回復と与ダメージ、または苦痛によるターンエンド毎の自傷と敵回復という、正反対の効果からデッキを組むことになるが、さらに浄化を敵に与える度に進むカウントを参照してX回発動する大技も持っている。そのため、一定確率でダイスを消費しないバフを積み上げ、手数でカウントを稼ぐ必要もある。

バフである安堵を積み重ねてターンエンドのダメージで持久戦に持ち込むキャラクターかと思いきや、カウントを稼いで大ダメージを狙う戦い方ができるだけでなく、デメリットが大きなデバフ積み重ねてからメリットに展開するような技巧派な戦い方も可能となっている。

このように複数の構築の軸を持っているのは何もこのキャラクターに限ったことでは無く、全キャラクターで共通である。更に同じ構築の軸であっても、浄化の面が多いが威力の低いセーフティなダイスに寄せるのか、堕落の面が多い代わりに浄化の値が大きなリスキーなダイスに寄せるのかでもデッキの様相は大きく変わってくる。このことから、実に幅広いデッキ構築が出来ることが分かるだろう。

そして次の動画は、一定確率で発動する回避とクリティカルのステータスを唯一持ち、浄化と堕落のどちらかの効果がランダムに発動するダイスを扱えるキャラクターである「アウストラ」をプレイする様子だ。 ダイスのランダム性に加えてさらに確率発動系のステータスを複数持つということで、流石にこれは運ゲーだろうと思うかもしれない。しかし、うまくデッキを組んでシナジー効果を爆発させれば、敵の攻撃を悉く回避し、重要な場面で堕落を引いてしまうリスクも殆ど無くなる。おまけに、敵味方含めたランダムなターゲットに多段ヒットする攻撃を、全弾敵に当たるように確率を操作することまでできる。まさに、“ランダム性をデッキ構築力でねじ伏せる”を顕現したようなキャラクターである。

その他にも、一緒に戦うセンチネルの強化が得意であったり、堕落を敢えて自分与えることで大きな浄化力を手に入れると言ったキャラクターが用意されている。そして本作の最後に解放されるキャラクターである「オリオン」は、強力な効果のダイスを多数扱えるものの、6面ダイスのランダム性に加えて、更にダイスの効果を発動するための4つオーブの切り替えシステムまで加わり、一段と難易度が高くなる。

Astrea Six-Sided Oracles オリオン
最後に解放されるオリオンはオーブの制御が難しい。

しかしそのようなキャラクターであっても、デッキを熟考してターン毎に綿密に計算すれば、十分な勝機が見えて来る。StSやVotVでデッキ構築型ローグライクの面白さに触れた人は、是非とも本作を手に取って、頭をフル回転させてデッキを考えるあの感覚を再び味わってもらいたい。

評価ポイントのまとめ

Astrea Six-Sided Oraclesは、StS及びVotVに続く至高のデッキ構築型ローグライクだ。このジャンルのゲームが好きであれば絶対に遊んでもらいたいと思うが、StSまたはVotVを未履修であれば、まずはそれらのどちらかをプレイしてもらいたい。先行する2作品よりも覚えることが多く習熟には時間を要するため、最初から本作に手を出すと運ゲーだと勘違いしてしまう可能性がある点には注意が必要だ。

長所

  • 運を構築力でねじ伏せる面白さ
  • 浄化と堕落の押し合いの面白さ
  • 豊富なキャラクターとデッキパターン

短所

  • StSやVotVを履修していないと、運ゲーだと勘違いする
  • 日本語訳が一部おかしい
guest

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

0 コメント
Inline Feedbacks
View all comments