【Death’s Gambit: Afterlife】レビュー: ハードな2Dアクションを好むプレイヤーの受けは良いが、周回プレイ前提でカジュアル層とは評価が分かれる

点数評価75点
周回プレイする人は85点
プレイ状況Cエンドでクリア
プレイ時間約12時間
発売日2021年5月3日
対応機種Switch/PS4/Xbox/Steam
プレイ機種Switch
開発元White Rabbit
発売元Beep
ジャンルハードコア2Dアクション
ジャンルの考え方
総評/評判/感想

Death’s Gambit: Afterlife (デス・ギャンビット:アフターライフ)は、非常にRPG要素の高い探索型アクションゲームである。まさしく2D版ダークソウルと言ったところで、絶望的で謎めいた世界観と、高難易度アクションを楽しむことが出来る。ノーモーションで2種類の武器を切り替えて使い分け、パーフェクトガードからのカウンター攻撃を決めるアクションは、歯応え十分な難易度。一方で、完全にアクションを楽しむには周回プレイが必須であり、カジュアル層には余り受け無さそうだ。描き込まれたドット絵や世界観とマッチしたBGMの出来も良い。パッケージ版は外箱が付いており、特典とソフト一式でまとめられる点も◎

【総合評価】
革新性
ユーザビリティ
ビジュアル
サウンド
プレイ継続性
コストパフォーマンス

かなりRPG寄りな探索型アクション

Death’s Gambit: Afterlife (デス・ギャンビット:アフターライフ)は、不死の地シラドンにて、死神と契約を交わして不死となった主人公が、不死身のガーディアンたちに挑み不死の真実に迫る、探索型のサイドビューアクションゲームである。

ソウルライクな探索型のサイドビューアクションゲームというと、ホロウナイトやエンダーリリーズといった名作ゲームが頭に思い浮かぶ人が多いだろう。

今回レビューするDeath’s Gambit: Afterlifeも、これらのゲームと同様にソウルな世界観と高い難易度をウリにしているアクションゲームだ。主人公は比較的まともで正気を失っていないものの、まともに会話が通じるNPCは限られており、訳も分からず使命を与えられて旅が始まるという点は、如何にもな“ソウルらしさ”を持った作品だ。

Death's Gambit: Afterlife ゲーム導入部分
遠征先で倒れたはずが、死神と契約して不死になり、その見返りに使命が与えられる。
Death's Gambit: Afterlife NPCとの会話
会話対象は何も人間だけとは限らない。そして、話が噛み合うとも限らない。

大ジャンルとしては探索型に分類されることもあり、本作ではプレイヤーが複数の分岐で繋がったエリアを探索し、待ち受けるボスを倒すことで特殊地形を踏破する移動系能力を入手可能となっている。そして、それを使うことで新たな道が切り拓かれて、徐々に探索範囲が広がって行く。

Death's Gambit: Afterlife マップ
拠点となる聖域を中心に、上下左右に探索範囲が広がる。
Death's Gambit: Afterlife 移動スキル
エアダッシュ、2段ジャンプ、壁破壊など、探索型ではお馴染みの移動系能力を入手。

Death’s Gambitは進行こそ一般的な探索型、俗称で言えばメトロイドヴァニアでお馴染みの、移動系能力入手と再探索の繰り返しだが、RPG的な強化・育成の要素が非常に強いことが特徴である。

敵を倒すことでエッセンス、ソウルシリーズでいうところのソウルに相当するものを入手できる。エッセンスを死神像(篝火に相当)にて消費することでレベルアップ出来るのだが、その際にVIT(体力)、STR(筋力)、FIN(技量)、INT(知力)など、RPGでお馴染みのステータス項目に振り分けて、好みの方向性で主人公を成長させることができる。

Death's Gambit: Afterlife レベルアップ

先にステータスから説明したが、ゲームを開始すると、これまたソウルシリーズでお馴染みの素性に相当する“クラス”の選択肢が出現する。番兵や貴族など、全8種類の初期ステータスが異なるクラスが用意されている。クラスによって最初に所持している武器種が異なり、戦闘スタイルが大きく違ってくることも定番だ。

Death's Gambit: Afterlife クラス選択
クラス選択時には、一通りアクションを試すことができる。

選んだクラスによって最初に獲得する攻撃用のアビリティが異なるので、基本的には最初に選んだクラスが持っている武器種を使い続けることになるが、メイン武器とは別にサブ武器も装備することが出来る。

メイン武器とサブ武器は持ち替え動作は設定されておらず、☐でメイン武器、R2でサブ武器を振ることができる。例えば、普段はメインで長剣を使っているが、素早い敵が出てきた場合には、長剣より威力は劣るが攻撃は素早い短剣をサブ武器として使用したり、余り近付きたくない敵にはリーチで勝る斧槍をサブ武器として使用するなど、状況に応じた使い分けが楽しい。

Death's Gambit: Afterlife アビリティ習得
アビリティは拾うほかにNPCから購入可能。
Death's Gambit: Afterlife 装備選択
大剣と長剣なら、必要ステータスはSTRなので使い分けしやすい。
Sara
Sara

筋力、技量どちらも均等に育てて、大剣と短剣という全く方向性の違う武器を、メイン・サブを意識せずに使い分けるのもあり。

なお、武器はザコ敵からのランダムドロップや、ボス討伐の報酬にて入手可能であり、探索型のゲームとしては豊富な部類である。武器に限らずそれぞれのアイテムにはフレーバーテキストがしっかりと設定されており、アイテムの説明欄を通して何となく世界が見えて来るという点もソウルライクらしい演出だ。

また、キャラクターの育成としては、レベルアップによるステータス強化以外にも、ボスを倒すことで入手できるタレントポイントを消費することで様々なパッシブ効果を取得できる。いわゆるスキルツリー方式でパッシブ効果を取得していくのだが、一般と呼ばれる共通項目以外にもクラス専用のツリーが用意されており、ゲームを進めることで選ばなかったクラスのツリーも取得可能になっている。用意されているタレントに対して、入手できるポイント数は限定的なので、何を取得するかは非常に悩ましい。

Death's Gambit: Afterlife スキルツリー
全スキル習得は困難。

ガードからのカウンターが重要な高難易度戦闘

Death’s Gambitは高難易度がウリなため、ボス敵はもちろんザコ敵でもバカにならないダメージをこちらに与えて来る。前項で説明した通り、このゲームはRPG的な要素が強く装備も豊富なのだが、防御力に相当するステータスが存在しない。戦闘はヒットストップ無しでサクサクと進むが、ステータス強化によるダメージの軽減が不可能なので、緊急回避と盾受けが非常に重要となっている。

緊急回避はスタミナを消費するため連発することはできず、盾受けは盾の性能にもよるが、ガードを続けているといずれは崩されてよろめいてしまう。緊急回避・盾受け共に万能では無いため、攻撃を受ける瞬間にガードをすれば敵の体勢を崩すことができるパーフェクトガード(いわゆるジャストガード)を使いこなせるかどうかが、勝利の鍵を握っている。パーフェクトガードが発動すれば、よろめいた敵に対して専用モーションの強力なカウンター攻撃で大ダメージを与えることができるので、ガードするタイミングの見極めは必須に近いテクニックとなる。

Death's Gambit: Afterlife ボスの攻撃をガード
悩んだら取りあえずガード。盾も種類によってパッシブ効果が異なるので、適切な装備を考える必要あり。
Death's Gambit: Afterlife パーフェクトガードからの反撃
パーフェクトガードが決まれば無防備な敵に必殺の一撃が決まる。

次の動画はガードを固めてボスの猛攻を凌いでいる様子である。パーフェクトガードからのカウンター攻撃は強力だが、ガードのタイミングを見誤ると、当然ながら大ダメージを喰らうことになる。そのため、確実にパーフェクトガードを取れる攻撃だけを狙い、ワープからの高速移動攻撃は無難に盾受けをして戦っている。このように、反射神経で立ち回るだけでは無く、どの攻撃に対してカウンターを狙うべきか考えることも大切だ。

敵は主人公と同じような人間タイプから、画面からはみ出すような巨大なタイプまで千差万別だ。どのような相手であってもパーフェクトガードは発動可能となっているので、負けが続くようであればガードのタイミングをじっくりと観察することが必要となる。倒される度に死亡回数がカウントされ、エンディング分岐に影響しそうな意志力という謎のステータスが変動するため、負け込むと焦って来るのだが、落ち着いて攻撃を見切らなければ勝利を掴むことはできない。勿論、RPG的に主人公の強化を重ねて突破しても良いのだが、前述の通り防御力に相当するパラメーターが存在しないので、少々強化しただけでは状況は改善しないことが多い。結局はパーフェクトガードのタイミングを研究した方が近道となる場合が多い。

Death's Gambit: Afterlife 巨大なボス
巨大な敵の一撃は当然ながらダメージが大きい。

ちなみに、同じ場所で死に続けていると、魂を回収して復活させてくれる死神から、「もう6回も死んだぞ」、「ここまで死ねるのは才能」、「装備をアップグレードしろ」、的な嫌味を言われる。ソウルライクの特徴である、繰り返される死を介して会話のやり取りが用意されているのは面白い。

なお、ボスは撃破すれば終わりという訳では無く、倒したボスの元に再び訪れることで再戦可能となっている。それも単純な再戦ではなく、ヒロイックモードという超絶に強化された別バージョンが用意されている。挑戦前に撃破推奨レベルが表示されるのだが、それを迂闊に信じて挑むと瞬殺されることには注意したい。見事倒せたときの達成感は大きいので、腕に自信があれば積極的に挑戦したい。

Sara
Sara

推奨レベルを満足していても、数発で倒されて呆気に取られる。

Death's Gambit: Afterlife ボスとの再戦
ヒロイックモードを撃破すれば貴重な武器やアイテムを入手可能。

登場するボスはいずれも強大で何度も挑戦することになるのだが、ボス戦に関しては比較的親切な仕様が用意されている。ゲームとしてはソウル系だが、倒されても所持していたエッセンスをドロップすることはなく、逆にボスの体力の削り具合に応じてエッセンスを入手することが出来る。入手したエッセンスでレベルアップしても良いし、アイテムやアビリティを購入しても良い。倒された場合はエスト瓶に相当する回復アイテムである羽を一つその場に落としてしまうが、死神にエッセンスを支払うことで回収してきてくれる点も親切である。

Death's Gambit: Afterlife ボス戦のダメージボーナス
ゲーム終盤になると焼け石に水だが、序盤はこれがかなり有難い。

周回プレイをしなければ真価を発揮しない

Death’s Gambitは2、種類の武器を装備の切り替え無しで使いこなす戦闘が面白いアクションゲームだが、圧倒的にタレントポイントと武器強化アイテムが足りない。そのため、ゲームの序盤こそは色々な組み合わせを楽しむかもしれないが、中盤からは最初に選んだ武器種+遠距離攻撃用の弓以外の組み合わせ以外の選択肢が取り難い点が残念だ。マルチエンディングゲームなので、2周、3周と遊ぶことが前提であり、新しい周回を開始すればクリア時の入手物を全てを引き継ぐので、最終的にはこれらの問題点は改善する。しかし、高難易度ゲームということもあり、1周目で満足する人も多いことが予想されるため、1周目から思う存分に武器の使い分けを楽しませて欲しかったところだ。

強化アイテムは入手性が悪く、適当なサブ武器を強化してしまうと、詰むまではいかないが少し苦労することになる。強化アイテムであるソウルストーンは、不要になった武器を解体することで手に入るため、道具屋で適当な武器の購入・分解を繰り返せば稼ぐことができる。しかし、まとめ分解などの便利機能は無いので繰り返し作業が面倒だ。また、ゲーム後半になると上位素材であるイモータライト・ストーンも登場するが、そちらは恐らく分解では入手できないので、安易に使ってしまうと大いに後悔するだろう。

Death's Gambit: Afterlife 装備の解体
強化に必要な要求数の上昇も激しく、解体だけで時間がかかる。

また、NPCがイベントで急に死亡してしまうため、各々から購入できるはずだったアビリティが入手不可能となることがある。アビリティはメイン・サブ関係なく、対応武器を装備さえしていれば発動できて、一時的なバフ・デバフのためにサブ武器選択するという戦い方ができるので、ボス毎に有効な組み合わせを考えることも遊び方の一つだ。ソウルライクなゲームなので、NPCが消えてしまうのもアリなのだが、取り返しのつかない要素で折角の遊び方の幅を狭めてしまうことは残念である。

ちなみに、ソウルシリーズと同様に、いずれのNPCにも攻撃を加えることが出来る。ゲーム開始時に登場する屈強な重装備の戦士をいきなり倒して、強そうな斧を頂戴することも可能だ。

他にも、探索範囲が結構広い割には、ファストトラベルが最終盤まで解禁されないため、折角新しい移動系能力を手に入れても探索が億劫になる点もやや不満である。後はSwitch版限定の問題だと思うが、読み込み速度が遅いために、ゲーム起動からプレイ開始までに1分ほど時間を要する点も評価を下げた。

以上のように、Death’s Gambitは、RPG的な強化・育成で自由に育てたキャラクターで、高難易度の戦闘を楽しむことができる探索型のアクションゲームだ。マルチエンディング方式で周回前提のバランス調整になっているため、真にアクション面を堪能するにはややハードルが高くなっている。そのため評価が分かれるかもしれないが、高難易度のサイドビュータイプのアクションゲームを求めている人には間違いなくオススメ出来るだろう。

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