インディーゲームとは一般的に、小規模な開発スタジオが、外部からの資金提供を受けずに製作されたゲームのことである。
汎用エンジンの普及、Steamを通じた販路の拡張、SNSを通じた容易なフィードバックなどから、インディーゲーム市場は2010年頃から急成長している。そしてインディーゲーム市場の急拡大を受けて、インディーゲーム専門のパブリッシャーが多数発足し、インディーゲーム専門イベントが勃興したりと、その勢いは留まるところを知らない。
そんなインディーゲーム界隈だが、一つ欠点がある。それはリリースされるゲームの数が多過ぎることだ。仮に24時間眠らずにゲームをプレイし続けたとしても、気になったゲーム全てを遊ぶことは不可能だ。今日もどこかで何かが開発され、見たことも聞いたことも無いゲームがリリースされ、プレイされて脚光を浴びる日を待ち続けているのだ。
当記事では、当サイトでレビューした作品の中から、“十分な面白さを持っているものの、世間一般では存在を余り認知されていない”、マイナーながらもプレイをおすすめしたい作品を10本厳選して紹介する。
惜しくも選出されなかったり、十分に注目されているインディーゲームについては、タグ機能で「インディー」を付けているので、タグからの絞り込み機能で確認してもらいたい。2023年2月現在、インディーゲームのレビューは85本。
マイナーインディーゲーム紹介の第2弾は以下の記事を参照。
芸術点で勝負するタイプ
超富裕層のためのゴルフコースとなった地球で、ひとりで黙々とゴルフをするゲーム。サイドビューのゴルフゲームであり、しっかりと物理演算されるボール挙動と、通常のゴルフではあり得ないシチュエーションの組み合わせが面白い。火星から配信されるラジオ番組『Radio Nostalgia from Mars』は、レトロなカントリー系の映画で流れてきそうなサウンドで構成されており何ともエモーショナル。ゲームはクリアまでストーリーモードなら約2時間と小振りだが、配信されているサウンドトラックは2時間8分と長めで、サウンドには自信があるらしくヘッドフォンでの視聴を推奨される。チャレンジモードは相当に難しい。
人間を打楽器として扱ってゴリラを脱出させるアクションゲーム。プレイヤーはゴリラを操作して攻撃することで、人間を壁に叩きつけてシンバル音を響き渡らせることができる。ドラムメインのBMGに、敵の発砲音とゴリラが人間を潰したシンバル音が即興でセッションすることで、実に見事なジャズサウンドが完成する異端。
子供向けの迷路絵本の中を自由に歩けるようにしたゲーム。“優れた低年齢層向けの娯楽とは、大人が手に取っても楽しい”ということが良く分かる作品。絵面としては明確にウォーリーを探せのフォロワーであり、単純に迷路をクリアするだけではなく、様々な場所をインタラクトしながら、じっくりと眺めて楽しむことがメイン。絵本を僅かばかり動かすことで生まれる付加価値にも目を向けたい。
なかなか常人には思いつかないタイプ
基礎部分が僅か72時間で作られた、チェスとローグライクをミックスしてショットガンで味付けしたゲーム。チェスのキングにショットガンを持たせると何が起こるかと言うと、キング一人でも射撃で無双できるようになるのだ。実にシンプルで狂った発想に従って、ターンベースの戦略パズルであるチェスを脚色した作品。しかしローグライクとしては意外に考えられており、新しさも感じることができる。自分がアップグレード選択する際に、相手のアップグレードもセットで選択し、自分も相手もシナジーを得て強くなっていくローグライクはショットガンキングだけ。
ガチョウを操作して村人にイタズラするゲーム。公式が自称するゲームのジャンルは、“ドタバタアクション・ステルス・サンドボックス・ガチョウシミュレーター”だ。つまり、ガチョウになりきって(シミュレーター)、物陰に隠れながら(ステルス)、手段を問わず(サンドボックス)、イタズラする(ドタバタアクション)のだ。とりあえずグワグワ鳴けば良い。サンドボックスなのだがら手順は不問だ。
インクで動物を召喚して戦うストラテジーゲーム。オナラでバグパイプを吹いて敵を攻撃するロバの絵がキャッチーで、クレイジーさを感じる本作だが、実はターン制かつコスト式ユニット召喚のタイプの、奥深いストラテジーゲームだ。ダメージバトルに加えて、一撃必殺の押し出しシステムで一発逆転が狙える独自システムは秀逸。緩いシナジーと“退屈”というユニット召喚に対する制限に頭を悩ませる。CPU戦は通常難易度でもかなり難しい反面、デッキ構築型だがストック性が採用されている点も新しい。
割と正統なタイプ
ローポリゴンな走行ルートが変幻自在なダウンヒルレースゲーム。オンラインランキングが用意されているとはいえ、全16コースしか用意されておらず、ソロで遊ぶ小振りなタイムアタックゲームに見えるかもしれないが、実際のボリューム量は果てしない。走行ルートのパターンは無限大で、奇跡的に生まれたショートカットを安定させるための研究は、永遠に終わらないだろう。
ヒラメキが重要なパズル系2Dプラットフォーマー系のゲーム。頭と体を離しても10秒なら耐えられるElecというロボットが、頭を投げて色々な場所に通電しながらパズルを解いて道を切り開いていく。パズルと2Dプラットフォーマーの両方に挑戦する必要があり、特にパズルが苦手な人には向かないが非常に良質な作品。ボリュームが少ないので、続編を早く出して欲しい。少々高くても良いからもっと遊びたい。
時代設定が唯一無二な2Dアクションゲーム。20世紀初頭における日本統治時代の台湾を舞台に、富裕層から奪った金品で貧困者を養う実在した義賊である“添丁”を主人公に、カンフーアクションで大暴れする。時代設定以外にも、伝統漫画を題材にした演出や、言語の壁のお陰で全く内容が分からないが雰囲気が抜群のエンディング曲など、インディーゲームらしい独自性を感じる。設定だけでなくアクション面でも非常に優れており、お手軽なカンフーコンボと武器強奪を組み合わせた戦闘シーンの手触りは素晴らしいの一言。
ゲームボーイがカートリッジを交換しながら進む2Dプラットフォーマーゲーム。一言で表現すれば、主人公がゲームボーイ本体になったセレステ。見た目が特異で公式によるゲームの説明も抽象的なので、ゲームの概要を余り理解されていないが、ステージクリアに達成感を求めるアクションゲーマーであれば絶対に満足するはず。スティックの入力に対するキャラクターの制御が難しく慣れるまでは苦労するが、うまくカートリッジ交換をしながら移動系スキルを使い分けられるようになると、背景色の変化と相まって気分が高揚してくる。
マイナーゲームとインディーゲームの定義について
何をもってマイナーゲームとするかは人それぞれだが、当記事では『ゲームタイトル+レビュー』で検索し、当サイトが結果の上位から3番目以内に表示されるにもかかわらず、アクセス数が奮わないタイトルをマイナーゲームとして定義している。ただし、アクセス数に具体的な閾値を設けている訳ではない。
検索結果は常に変動しており、人によって表示も異なるので注意。
当然ながら古い記事の方が新しい記事よりも、集計期間が長くなるのでアクセス数は増える傾向にある。そのため、同時期に公開した他のインディーゲームの記事と比較して、アクセス数が桁違いに少ない場合にマイナーゲーム判定を行っている。
当サイトでは具体的なアクセス数は公開していないので比率で例を挙げると、当記事で紹介した『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た』は、そのひと月前に公開したインディーゲームである『ソード オブ ザ バークラント』の20分の1程しかアクセスが無い。従って、マイナーゲームと判定した。
また、発売直後にレビューした記事の方がアクセス数は伸びる傾向にある。ただし、インディーゲームはフットワークが軽くセールを繰り返しやすいことから、後から急に脚光を浴びることも少なくない。従って、検索上位に出て来るがアクセスが伸びていない作品は、『埋もれている』と判断しても差し支えないと考える。
端的に言うと、インディーゲームの定義は曖昧だ。
記事の冒頭にて、『小規模な開発スタジオが自己資本で作ったゲーム』をインディーゲームと呼称しているが、具体的にどのぐらいの人員が小規模であるか明確な定義は存在しない。また、自己資本と言っても、大手メーカーと遜色のない開発環境を整えることができる開発スタジオの作品を、インディーと呼んでいいのかも定かではない。
結局は、自らの作品をインディーゲームと呼ぶかどうかは、開発スタジオ次第である。
インディーゲームと近しい存在として同人ゲームが存在する。こちらも明確な線引きがされている訳ではなく、しばしばインディーゲームと同人ゲームが同義であるように語られることがある。しかし、それらは明確に区別したい。
インディーゲームは小規模ながらも商業的に成立させることを目的に製作されたものであり、同人ゲームは非営利(あるいは悪目立ちしない範囲で儲けを得るため)に製作されるものであると認識すればよいだろう。そのため、同人ゲームにはパブリッシャーが付くことは無い。
また、無許諾で二次創作ゲームが作成される背景には、同人ゲーム=非営利という前提がある。インディーゲームで二次創作を行う場合は、漏れなくオリジナルから許諾を得て製作されている。
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