ゲーム・オブ・ザ・イヤー&クソゲー・オブ・ザ・イヤーを年間レビューから選出!【2023年版】

当サイト『ゲームナナワリ』では、2022年12月~2023年11月に50タイトルをレビューした。当記事ではそれらの中から、最も優れた作品である『ゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY)』と、最も出来の悪い作品である『クソゲー・オブ・ザ・イヤー(KOTY)』を選出する。

ゲーム・オブ・ザ・イヤー(Game of the Year,GOTY)とは、個人や業界団体がその年の優れたゲームソフトに与える表彰である。選考のレギュレーションは、ゲーム開発者が選出,インディーゲームに限定,スマートフォンゲームに限定など様々だ。つまり、一口にGOTYと言っても選考レギュレーションによって内容が全く異なってくる。

従って、当記事で紹介するGOTY及びKOTYは、当サイトが2023年にレビューした作品(発売日を問わず)が対象であり、筆者の個人的な意見で自由に選出したものであることに注意してもらいたい。

Sara
Sara

自分なりの意見があれば、自分でサイトを作って、オリジナルのGOTY&KOTYを公開しよう!

GOTYは大賞以外にも、幾つかの部門に分けて表彰している。評価項目として挙げている、革新性,ユーザビリティ,ビジュアル,サウンド,プレイ継続性,コストパフォーマンスの6項目に加えて、ゲームジャンルで4部門,インディーゲームで1部門,発売前の期待作で1部門を用意した。KOTYは大賞のみとなり、GOTYとKOTY合わせて全14部門で表彰する。

ゲーム・オブ・ザ・イヤー2023

大賞:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

当サイトにおける、GOTY2023大賞は『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』である。

圧倒的高評価の神ゲーの続編は、一般的に前作の評価を超えることが難しい。何故なら続編を遊ぶプレイヤーは、勝手に前作を上回る驚きに期待し、不満点は全て改善されている前提でプレイするからだ。そして『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はどうだったかというと、前作のシーカーアイテムを全て捨て去ったうえで、クラフト要素という驚きに満ちた“新しいおもちゃ”を用意した。さらにその遊び場は空と地下に過剰なほどの広がりを見せボリュームも申し分ない。一方で前作で不満だったUIの改善度合いは精々70点と言ったところだ。しかし、UIの悪さなど忘れてしまう程に、革新性とプレイ継続性が計測不能なレベルの高い点数を叩き出しており、トータルの満足度で大賞となった。

革新性部門:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

革新性の高さこそが、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の何よりの魅力だ。探索が主となるオープンワールドゲームにおいて、前作と殆ど地形が採用されており、さらにストーリー展開も4種族の主要都市を巡る同じような流れとなっているにもかかわらず、何もかもを新しく感じる仕掛け作りは余りにも革新的である。詳細はレビュー記事を見てもらいたいが、クラフトが出来るようになったことや、探索エリアが空や地下に広がったことは革新性の一部に過ぎない。新要素が全てが上手く絡み合っており、世界こそ同じだがプレイヤーは目標に向かって必然的に新しいアプローチを取ることになり、前作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』同様に常に感動を覚えることなった。

ユーザビリティ部門:Marvel’s Spider-Man 2

ユーザービリティの項目は、UI,操作性,応答性など、ユーザーエクスペリエンスに通じる評価項目だ。この項目に関しては、文句なしに『Marvel’s Spider-Man 2』だろう。前作同様に移動そのものがメインコンテンツとなり得る操作性に加えて、ファストトラベル時にワールドマップがズームされ、そのままシームレスにプレイ画面に切り替わる演出には度肝を抜かれる。何かと情報量の多いオープンワールドゲームだが、洗練されたUIにより迷うことは無く優れたストーリーに集中できることも嬉しい。

ビジュアル部門:Marvel’s Spider-Man 2

筆者の場合、『Marvel’s Spider-Man 2』はトロフィー100%を達成するまでに約24時間の時間を要したが、恐らくその1割ほどはフォトモードに費やしている。近年はフォトモードを搭載している作品は多いが、本作のフォトモードはダントツで遊べる。映像が美しいことは勿論のこと、数々のカメラ設定や光源に加えて、効果音や恐らく原作から持ってきたであろうセリフ付きの吹き出しが膨大に用意されている。それらを活用することで、単なる写真というよりもアメコミの1コマを作っているような楽しさがあり、ついつい時間を忘れて凝った構図を探し続けてしまう。ゲームオリジナルのストーリーの続きも気になるが、絶妙なアングルを見つける度にゲームをストップしてフォトモードで遊びたいというジレンマに陥ることは間違いない。

サウンド部門:スーパーマリオRPG,Sea of Stars

『スーパーマリオRPG』はターン制コマンドバトルのJRPGとはいえマリオを題材としていることから、装備品は剣や盾といった中世的なものでは無く、ハンマー,シンバル,フライパンといった何処か穏やかでコミカルさを感じるものが多い。一方で、本作の侵略者達は明確に“武器”がモチーフになっており、本作は敵と味方で非常に対照的だ。曲に関しても同様で途中までは如何にもマリオらしい曲調になっているが、最終盤の武器工場からラスボス戦などの一部の楽曲は、一気にファイナルファンタジーシリーズに寄せたような曲に変化する。マリオらしい曲もJRPGらしい曲もどちらも楽しめ、捨て曲など一曲も無い。そしてリメイクに合わせたアレンジ版だけでは無く、オリジナル版も収録されているのことも嬉しい。

ただし『スーパーマリオRPG』はリメイク作品なので、『Sea of Stars』を同時受賞とする。『Sea of Stars』は『クロノ・トリガー』などで有名な光田康典が作曲で参加することが大きな話題になったが、それに抜きにしても本作の音楽は素晴らしい。現代では3D表現が当たり前になりフルボイスの作品も多く、演出面で楽曲が担う帰責の割合は低くなっているが、16bitゲーム機“風”に作られた本作をプレイすると、JRPG全盛期における音楽の重要性が良く分かるだろう。2023年12月7日に発売されるパッケージ版にはサウンドトラックが付属するので、DL版でクリア済みであっても追いパッケージをしたいところだ。

プレイ継続性部門:ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム

前作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』では、大目標と小目標の発見サイクルが圧倒的なプレイ継続性を発揮していたのだが、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は移動に関する意図的に設けられていた制約から解き放たれており、大目標から大目標へダイナミックに探索が可能になっている。一方でその探索の途中には、無視できない程に好奇心を掻き立てられるオブジェクトが多数配置されており、空や地下に地上との何らかの関係性を見出すと最後、無限に寄り道が発生することになり止め時が分からない。

コストパフォーマンス部門:Brotato

2022年のコストパフォーマンス部門は『ヴァンパイアサバイバーズ』が受賞したが、2023年はそのフォロワー的作品である『Brotato』が受賞することになった。本家ヴァンサバも十分にコストパフォーマンスに優れた作品だったが、本作はそれを軽く凌駕した。サバイバーズ系の遊び易さとデッキ構築要素が引き起こした化学反応は、プレイヤーを試行錯誤の沼に引きずり込む。

ベスト2Dアクション:30XX

いつまで経っても『ロックマンX9』が発売されないことを嘆き、『ロックマンX DiVE』の買い切り版が発売されても“元がスマホゲーでは・・・”という気持ちを持っているロックマンXシリーズのファンは『30XX』を遊ぶと良いだろう。アイキャッチ画像から見て分かるようにロックマンXをオマージュした本作は、完全なまでにロックマンXの挙動を再現している。ローグライクなモードがベースとなり、幾つかの要素を落としたローグライトなモードで遊べたりと、模倣だけでなくしっかりとオリジナルのゲーム性を持っている点も評価が高い。

ベスト3Dアクション:ARMORED CORE Ⅵ FIRES OF RUBICON

3Dアクションゲームはゲーム業界の花形ジャンルなので、ベスト3Dアクション賞は最も混戦となるジャンルだ。そこで何故『ARMORED CORE Ⅵ FIRES OF RUBICON』を選出するかというと、自分の好みに合わせて好き勝手にパーツや武器を組み替えたマシンを駆ることができるからに他ならない。しかも本作には、フロム・ソフトウェアが約10年間で蓄積してきた死にゲーの知見が凝縮されており、絶妙な難しさの高難易度ステージを、あれこれと試行錯誤を繰り返して辿り着いた“僕が考えた最強マシン”で突破できた時の喜びは格別なのだ。また、アイコンと声以外にキャラクター情報を得ることが出来ない本作だからこそ、マシンの見た目の特徴や動きが雄弁に物語っているような印象を受ける点も評価したい。

ベストマルチプレイヤー:マリオカート8 DX コース追加パス

ベストマルチプレイヤーは『マリオカート8 DX』が2年連続の受賞となった。2年計画のDLC配信が完了したのだが、実質的にマリオカート9のような大ボリュームになった以外にも、ステータス調整によるワルイージ一強の終焉,ミラー及び200ccの出現率低下,逆走や停止を繰り返す悪質なプレイヤーに対する措置などが行われ、パーティゲームとしての満足度は更に向上している。作品をより良くするため、長期間に渡って取り組んでくれたことを大きく評価したい。

ベストローグライク:Brotato

Brotatoは、サバイバーズ系の皮をかぶったデッキ構築型ローグライクである。ルート分岐無しで、サバイバーズ系の戦闘とショップにおける種々の売買を繰り返す、一本道のデッキ構築型ローグライクと理解すると良いだろう。多様なキャラクターの特性とステータス変化に合わせて、武器とアイテムを選択してシナジーの妥協点を探していく思考パートは、完全にデッキ構築型ローグライクそのものである。ベストなシナジー効果を求めつつも、ランダムに提示される選択肢が下振れした際には妥協点を求めてデッキを軌道修正していくという、デッキ構築型ローグライクの面白さをサバイバーズ系の戦闘体系で楽しめる。そして、個性的な全44キャラクターが用意されていることからデッキビルドの幅が果てしなく広い。デッキビルドの可能性を探ることに快感を覚えるローグライカーは絶対に遊ぶべきだ。

ベストインディーゲーム:デイヴ・ザ・ダイバー,HUMANITY

『デイヴ・ザ・ダイバー』は、熱帯魚や深海魚で握った訳分からない寿司や、明らかに誇張表現された日本を表現したムービーが際立つ、ダイビングアクションと寿司屋経営シミュレーションをミックスした奇妙な作品だ。本作が評価されるべきポイントは何と言っても、“日本文化に対する理解度”だろう。海外で蔓延する“トンデモ寿司”を見た日本人がどのような反応をしているかを完全に理解したうえで、そこに“それっぽい”解説や理屈をこじつけて見事に正当化している。度の過ぎたカットシーンの数々は必見。

筆者はベストインディーゲームは『デイヴ・ザ・ダイバー』で良いと考えるが、『HUMANITY』も同時受賞とする。理由はインディゲームの定義が物議を醸しているからだ。一般的に、少人数で外部資本の提供を受けずに製作された作品はインディーに分類されるが、そもそも“少人数”に定量的な規格はなく、開発環境が大手と変わらないスタジオもあるので、“インディー”は名乗ったもの勝ち、あるいはインディーだと認識させたもの勝ちの状況である。

『デイヴ・ザ・ダイバー』を開発したミントロケットはネクソンのサブブランドであるため、開発環境は抜群に良いだろう。本作の開発環境はどうであれ、個人的には少人数チームで作られて、インディー的なスピリットを感じる作品であれば、そもそもインディーの明確な定義など無いのだから気にしなくても良いと考えている。しかし、本作が入賞したことで他のゲームが押し出されたと感じる人も居るだろう。

という訳で、『HUMANITY』も同時受賞となった次第だ。『HUMANITY』は自我を失って自動行進するローポリゴン人間達をゴールまで誘導することが目的の3Dパズルゲームだ。ステージが進む度にギミックや制約が次々と追加されていき、クリアには関係のないチャレンジングな要素も用意されている。3Dパズルゲームはジャンルとして余り流行っていないので、この手の頭を捻る作品が好きな人はプレイ必須である。加えて、クリエイティブなパズル作成・投稿のモードも用意されているので、この手のパズルが好きな人は無限に遊べるだろう。

リリース前の期待作品:Inkulinati

2023年2月1日からアーリーアクセスにて提供されている『Inkulinati』は、インクで書かれた中世の本を舞台として、Inkulinatiマスター同士がユニットを召喚して戦うストラテジーゲームだ。戦闘はターン制で、交互にユニットを召喚しながら召喚士であるInkulinatiマスターの撃破を目指すことになる。ユニットがぶつかった際には、直接的な攻撃に加えて相手を押して位置をずらすアクションが用意されており、場外へ押し出されたユニットは一発アウトになる。このスリリングな戦闘システムに加えて、強いデッキが出来上がったとしても特定のユニットの組み合わせに頼り続けることが出来ない“退屈”というシステムも面白い。押し出しと退屈によって戦闘難易度は高いが、デッキ構築型にしては珍しくストック性が採用されている。

クソゲー・オブ・ザ・イヤー2023

不名誉なKOTY2023を受賞した作品は、『いっき団結』である。

本作は、“伝説のクソゲーが令和に復活”を推し、“元々がクソゲー”という予防線を張って発売された、マルチプレイ対応のサバイバーズ系の作品である。肝心のマルチプレイモードは底が浅く工夫のし甲斐が殆ど無いうえに、シングルプレイモードはクリアさせる気が無いようなバランスとなっており、特に一部のキャラクターは最初のボスさえクリア不可能だ。このように滅茶苦茶な内容なので、発売当初は文句無しのクソゲーだった。

ただし、発売後のアップデートによって幾つかの問題点は改善されており、現在は毒にも薬にもならぬ★2程度の評価になっているようである。しかし、レビューはプレイした段階で決まるので評価を上げるつもりはない。当サイトで2023年にレビューした作品の中では、★1は本作しかないため、自動的にクソゲー・オブ・ザ・イヤーの受賞となった。

“伝説のクソゲー”を16人マルチプレイ可能という観点から見ると、配信シーンにおいて配信者とその囲いで、雰囲気と連帯感だけで“楽しい楽しい”と念仏のように唱えながらプレイするぐらいの使い道はあるかもしれない。

アクセス数から見た人気記事

GOTYとKOTYは上記の通りだが、次は2023年にアクセス数が多かった記事トップ10を紹介する。(数値は非公開)

アクセス数だけを見ると、当サイトでは『FINAL FANTASY XVI』のレビュー記事が最も人気のあった。といっても、これには訳があり、★4の75点では満足いかない本作の信者達が散々暴れまわった結果だ。当サイトは真実を掲載することをモットーとしているため、当作品の軽快な連撃アクションは高く評価しているものの、画面の暗さや終盤に急激に失速するストーリーを問題視し減点項目として挙げている。主にFF14出身の信者達はそれが気に入らずに事実陳列罪に処そうとしたようだ。最も、幾ら駄々をこねたところで個人の評価を捻じ曲げることなどできず、Xにおける場外乱闘を経てアクセス数の養分となって霧散していく様は、本作におけるベアラーの最後のようであり実に滑稽だった。

次に特筆すべきは、3位の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』だろう。『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の発売を前に重い腰を上げ、購入してから約5年間もの間チュートリアルで止まっていた本作をクリアして投稿したレビューだ。レビューを投稿したタイミングが良かったようで、“なぜ、ブレス オブ ザ ワイルドが神ゲーと呼ばれるのか?”という疑問解消を目的とした流入が多かった。記事としては、UIが酷いや戦闘が面白く無いなどと散々悪い所を列挙したうえで、それでも神ゲーだという構成が良かったらしく、非常に滞在時間の長い(しっかりと読んでもらえる)記事になっていたようである。

7位の『It Takes Two』も2020年発売の少し前の作品だが、コンスタントに検索流入が続いておりどのようなゲーム内容なのか知りたかった人が多かったようである。the game awardsの2021年開催分で大賞を取っただけあり、3年経った今も需要があるロングセラー作品である。

10位の『薔薇と椿 〜お豪華絢爛版〜』はクリアまで約2時間と非常に短い作品だが、高貴な女達がビンタで戦うという、目にした者に途轍もないインパクトを与える尖った作品ということもあり、買う前に一度調べたいという需要が大きかったようだ。本作は公式Xも面白いので、気になった人は覗いてみると良いだろう。

以上が、2023年度の、当サイトにおけるゲームオブザイヤー,クソゲーオブザイヤー,アクセス数ランキングである。

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