点数評価 | 75点 |
プレイ状況 | ノーマルクリア |
クリア時間 | 7時間 |
プレイ時間 | 約7時間 |
発売日 | 2021年10月8日 |
対応機種 | Switch |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | MercurySteam |
発売元 | 任天堂 |
ジャンル | 探索型アクションゲーム ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
時の流れは残酷だ。2Dメトロイドシリーズが、19年も休眠している間にゲーム業界の勢力図は大きく変わっており、探索型アクションゲームはインディー作品の独壇場である。そして、メトロイド ドレッドをクリアまで一通りプレイした感想は、『レジェンド級のメトロイドシリーズ渾身の新作でも、インディー神ゲー群には後一歩及ばなかった。』である。メトロイド ドレッドには豊富なアビリティが用意されているものの、肝心の探索がほぼ一本道に近いため作業感からつまらなさを覚える場面も多々あり、探索型の在り方についてはトレンドを捉えきれていない未熟さを感じた。爽快なシューティングアクションや、E.M.M.I.に追われる恐怖体験は良かったのだが、単なる操作の触り心地だけでは世界のトップレベルには到達できない。
飽和状態の探索型界隈においては、メトロイドと言えども厳しい戦いとなる
メトロイド ドレッドは、主人公サムスが未開の惑星を探索する、2Dメトロイドシリーズの完全新作。シリーズの新作は『メトロイドフュージョン』以来およそ19年ぶりとなる。主人公サムスはそのままに、基本アクションは快適になり新しいアクションも追加され、さらに今までに無い「探索」×「恐怖」をテーマにリリースされている。
いつの頃からか、サイドビュー探索型アクションゲームは、“メトロイドヴァニア”という俗称で呼ばれ、一部の造語好きゲーマーの間に浸透している。その俗称は読んで字の如く、メトロイドとキャッスルヴァニアという2大探索型ゲームのタイトルを繋げたものだ。つまり、メトロイドは探索型ゲームの代名詞と言える存在であり、そのようなレジェンド級ゲームの19年振り新作が発売されるとなれば、必然的に期待は大きく高まっていた。
一方で、本家探索型ゲームが長期間沈黙していた間に、当ジャンルではインディーゲームを中心に、数々の名作が生み出されている。絶対王者であるHollow Knight (ホロウナイト)を筆頭に、Ori and the Blind Forest (オリとくらやみの森)や、ENDER LILES(エンダーリリィズ)など、神ゲー級の作品がリーズナブルな価格で販売されているため、ジャンルの始祖であるメトロイドと言えども、高評価を得るためのハードルは相当に高くなったと言えるだろう。
飽和状態にある探索型ゲーム市場において、METROID DREAD (メトロイド ドレッド)は、射撃主体の攻撃方法と、フワフワしたクセのあるアクションに加えて、触れると即死する強敵ロボット“E.M.M.I”に追い回される恐怖感及び、開発規模の違いを見せつけるリッチなイベントシーンの映像面における演出で、インディーゲームの名作群とは上手く差別化を図っている。
しかし、当レビューのタイトルにある通り、インディーの名作群には明確に一歩譲る結果となっており、評価としても★4【オススメ】止まりだ。具体的に何が及ばなかったのか、事項から説明していく。
マップの構造自体は秀逸だが、一本道に近いプレイフィールが評価を下げる
メトロイド ドレッドの基幹的なゲームシステムは、他の探索型ゲームと大きく変わらない。歴戦の猛者であるサムスだが、ゲームスタート直後のトラブルで、全ての能力を失った状態となる。移動系アビリティを失っているため、複数の小部屋が繋がることで構築されたエリアを地道に探索し、新しい移動能力や攻撃手段を見つける。そして、それらの能力を使用することで、新たな道を切り拓いていくというオーソドックスなスタイルだ。つまり、サムスがプレーンな状態から惑星ZDRの探索をスタートし、シリーズでお馴染みの鳥人像を見つけたり、E.M.M.I.を倒すことで能力を取り戻していく訳だ。
探索型としては安心した作りのメトロイド ドレッドなのだが、新しい移動系アビリティを取り戻した後の動きについては、賛否両論なのではないだろうか。
探索型ゲームの醍醐味は、ジャンル名からも明確な通り“探索すること”である。しかし、メトロイド ドレッドは探索しているというプレイフィールに乏しい。マップは広大で、有名探索ゲームと比較してもそのボリュームに遜色は無い。部屋の中を見渡せば、新しい能力で破壊できるブロックや、移動できそうな扉が幾つも見つかるので、プレイを開始した当初は探索のやり甲斐がありそうに見えるかもしれないが、実際には探索と呼べるほどにエリアを走り回ることは想定していないのである。
壁を破壊したり、高くジャンプするなどの、新たなルートを形成する手段は能力の数だけ用意されており、その数は10種類以上にも及ぶ。新しい能力を取る度に、踏破済みの部屋であっても、目的地に向かって全く異なったアプローチをすることになり、部屋と部屋が新しいルートで繋がって行くデザイン自体は秀逸だ。しかし、能力の種類が多いことの裏返しで、一つ能力を手に入れただけでは劇的に探索範囲が広くなることは無く、小刻みにしかエリアが解放されていかない。小刻みに解放されていくということは、探索の自由度が低いことを意味し、用意された正解ルートを見つけるだけの作業になり、ルート選択の多様性も無い。
次から次へと流れ作業のように、新しい能力を使ってテンポ良く進んでいくプレイスタイルが気に入れば評価は高くなるだろう。一方で、前述の名作インディー探索ゲームのように、新しい能力を手に入れる度に一気に探索可能エリアが広がり、何処から手を付ければ良いか目移りするようなスタイルに慣れ親しんでいる場合、メトロイドドレッドは探索型にもかかわらず一本道のアクションという印象を受けるだろう。
新しい能力を取得した後は、高確率で近隣の部屋にその能力を使う場所が用意されている。能力を使う場所が見当たらない場合は、付近にテレポーターや列車などの移動手段が必ず設置されているので、それを利用すれば能力を使うエリアまで容易に移動することが可能となっている。この仕様が一本道感に拍車を掛けており、手探りで探索することを期待していた筆者としては不満だった。
筆者は“正解ルートは近隣の部屋にある”という法則に気が付くまでは、新しい能力を手に入れる度に、一般的な探索型ゲームのように、踏破済みエリアを片っ端から調べ廻っていた。しかし、全てが近場で完結するという法則に気が付くと、一気に探索型ゲームとしての魅力が失われたように感じた。
実際にこれだけ広いプレイエリアを持っているにもかかわらず、クリア時間はメトロイドシリーズを初めてプレイした筆者でも僅かに7時間程度だ。意外な繋がり方をするマップ構造自体に好感を持ったり、迷うことなく新しい能力で道を切り拓くことが出来るスタイルを気に入った人は高評価を付けそうだが、探索型としての在り方に疑問を抱く人も多いことだろう。
ファストトラベルが用意されていないことから、意図的に一本道に近い作りをしているのだろうか。
開発に投入された資金力の差を見せつけるリッチな演出
メトロイド ドレッドは、潤沢な任天堂資本が投入された作品だ。そのため、インディー作品と比較すると、イベントシーンにおける演出が非常にリッチである。タイトルのDREAD (=恐怖)に示される通り、触れると即死のE.M.M.I.に追われる恐怖に加え、巨大なボスキャラに立ち向かう凛々しいサムスのイベントシーンがふんだんに挿入されるため、映像的には大変満足度の高い仕上がりとなっている。名作とされるインディー作品もアクションだけでなくストーリーや世界観も優れたものが多いが、メトロイドのように派手なイベントシーンを楽しめるのは、任天堂のファーストタイトルならではだろう。
単に射撃メインの探索型だけでは終わらない体験が出来る!
特定のイベント攻撃以外を完全に無効化するE.M.M.I.は、四足歩行で狭い通路を這い回り、音を頼りにサーチライトで辺りを照らしながらサムスに近寄って来る。E.M.M.I.が出現するエリアに入ると、画面がノイズ混じりの暗いフィルターを掛けたような見た目になり、E.M.M.I.の挙動と相まって一気に不気味さが増してくる。E.M.M.I.の追跡能力もなかなかのもので、壁ジャンプや透明化などを駆使して振り切るアクションシーンでは、手に汗握る緊張感を味わうことが出来るだろう。
一切の攻撃が効かずにやり過ごすしかないE.M.M.I.だが、ある条件を満たせばオメガキャノンという武器を使えるようになり倒すことができる。ただし、倒すにはオメガストリームという連射武器でオーバヒートさせてコアを露出させてから、コアにオメガキャノンのチャージショットを当てる必要がある。連射は射撃ボタンの押しっぱなしにすればオートで行われ、チャージも専用のボタンを押しっぱなしにして待つだけなので、操作自体は難しくは無い。
しかし、メトロイド ドレッドの照準機能は、イーズインが設定されておらず、センシティブにスティック入力が反映されるため、簡単な操作に見えて照準を外しやすい。この操作性は、追い詰められて外せばゲームオーバーになるという状況において、程良い焦りの感情をプレイヤーに生じさせてくれる。
また、E.M.M.I.と対峙するエリアは起伏が多く、連射時間やチャージ時間を簡単には確保できなくなっており、時間稼ぎのための位置取りが重要になる。そのため、撃破に失敗した場合は、自分のスティック操作が悪かったのか、立ち位置が悪かったのか考える必要があり、狭いE.M.M.I.エリアの中でも色々と試行錯誤して考える楽しさを味わうことができる。
メトロイド ドレッドでは、E.M.M.I.やエリアボスだけでなく、時折出現する中ボスにもトドメの演出が用意されている。中ボス戦では、一定以上のダメージを与えるとイベントが発生して画面が切り替わるのだが、イベントの途中で敵の腕が光った瞬間にXボタンを押せば、メレーカウンターが発動して格好良い演出と共に中ボスを撃破という流れになる。
ちなみに、メトロイド ドレッドの戦闘は、フラッシュシフトという瞬間移動能力を軸に組み立てることになる。殆どのボス戦が、フラッシュシフトで攻撃をかわしてからの射撃が基本となり、演出は上記の通りにリッチで満足度は高いものの、戦闘の楽しみ方の幅は狭い。
モーフボール、グラッピング、スピードブースター、スペースジャンプなど、移動系アビリティが豊富なので、ボス戦闘にはそれらも積極的に戦闘に組み入れて、反射神経で勝負するだけでは無くしっかりとアビリティの運用を考えるボス戦を用意して欲しかったところだ。プレイ時間は短めなので、クリアまでに飽きてしまうことは無かったが、サムスの豊富な能力を戦闘に活かしきれていない点は残念に感じた。
フラッシュシフトと射撃を組み合わせた戦闘自体は触り心地が良く楽しいが、後半になると単純に飽きて来る。
周回遅れなSwitchのハード性能と、アイテム回収要素のバランス調整不足
メトロイド ドレッドはハッキリ言ってロードが遅い。他のゲームと差別化のためにリッチに仕上げた結果、4.3GBとゲーム容量がSwitchのゲームにしては大きくなっているのだが、その代償としてエリア移動の度に明確な待ち時間が発生してしまう。
他の現行ハードと比較して周回遅れ性能なSwitchではロードが遅くなるのは当然だ。
ゲームの舞台となる惑星ZDRは、全プレイエリアがシームレス繋がっている訳では無く、幾つかのエリアに分かれている。これらのエリア間の移動をすると、10秒近い読み込みが発生するのだ。ここまで長いと何らかの演出で誤魔化すことは難しいと判断してか、ロード中は潔く立ったり座ったりしているサムスが映し出されるだけとなっている。
ロードの長さに加えてエリア間のファストトラベルが用意されていないため、後から取り逃したアイテムを回収しようと思うと、何度もロードを挟みながらエリア間を移動しなければならない。当然、アイテムを回収し終えた後は、同じロード時間を味わいながら地道に帰ることになる。これはかなりの苦痛であり、アイテム回収は早々にやる気が削がれてしまった。
また、ゲームオーバー時にリスタートした際にも、エリア移動と同程度の読み込みが発生する。他の探索型ゲームとの差別化を狙って投入されたE.M.M.I.は、メトロイド ドレッドの目玉であることは間違いないが、その目論見はSwitchという低スペック機のお陰で、ロードというゲーム外のストレス要因になってしまっている。
E.M.M.I.の探索範囲は広く、追跡は極めて執拗なので、初めて入るE.M.M.I.エリアでは大半のプレイヤーが何度もゲームオーバーになるはずだ。プレイヤーは、音を立てずにE.M.M.I.の追跡から慎重に逃れつつも、時にはリスクを負って大胆に逃げるスリルを味わうはずだが、途中からは捕まって即死させられる恐怖よりも、リトライの読み込み待ちをしたくないという、タイムロスの不快感の方が勝って来るのではないだろうか。こう感じてしまうと最後、プレイヤーにとってのE.M.M.I.の存在は、畏怖対象ではなく鬱陶しいだけの障害物に成り下がってしまう。
差別化を図って投入されたE.M.M.I.だが、低性能ハードのお陰で役割を完全に果たせたとは言えない。
ゲーム内に隠されたアイテムの大半はライフアップとミサイル弾数アップなのだが、ライフアップは重要という判断からか、比較的目に付く場所に置いてある。一方でミサイルは見逃しやすく発見が困難な箇所に隠されているが、一体何に使うのか分からない位の量が配置されているので、多少を取り逃したところで何の問題ない。
ミサイル弾を半分以上回収しなかったとしても、ボス戦では頻繁にミサイルを補充できるので詰むことは無く、最初から最後までミサイルに困ったことは無かった。この辺りの理解の及ばないアイテムの配置バランスもマイナス要素だろう。
一定数以上は何の役にも立たないミサイルの弾を、延々と集める作業は無駄でしかない。
また、ボス戦自体が覚えゲーに近いため、ライフが在ろうが無かろうが、クリア出来ない時は出来ないし、クリア出来る時はノーダメージに近い状態でクリア出来る。そのため筆者は、途中からアイテム回収は完全に時間の無駄と判断して放棄したため、クリア時のアイテム回収率は50%に止まった。
アイテム回収率50%でも一度も弾切れにならず。ミサイル弾数は完全に調整不足。
評価ポイントのまとめ
メトロイドドレッドは、マップ構成については賛否両論で評価が分かれるだろうが、演出面では満足度の高い仕上がりになっている。ボス戦は戦略の幅は狭いが、難易度はやや高めで攻略時の達成感も高い。一方で、ロード時間が明確に探索意欲を削ぎ、E.M.M.I.の存在価値を毀損している惜しい仕上がりだ。
また、インディーゲームと比較して割高な分だけリッチな演出が用意されているが、実際にアクションゲーマーが真に欲しているのは、演出では無く探索や戦闘の楽しさであったはずだ。そのため、一定水準のクオリティを満たした良作ではあるものの、完全に期待には応えられていないと言えるだろう。
ホロウナイトの発売から3年4カ月が経過したが、レジェンド級のメトロイドを持ってしても、その王座には届かなかった。ホロウナイトを超える探索型ゲームは今後出現するのだろうか?
長所
- リッチなイベント演出
- E.M.M.I.の恐怖
- 見栄えの良いフィニッシュシーン
短所
- 価格に見合っていないボリュームの少なさ
- 探索型にもかかわらず一本道感がある
- ロードの遅さ
- 無駄に多いミサイルの弾
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