2023年2月に、当サイトでレビューしたインディーゲームの中から、マイナーながらも遊ぶ価値のある10作品を厳選して紹介した。
前回紹介できなかった作品に加えて、2023年2月以降も複数のインディー作品をレビューしており、遊んで欲しいインディー作品はまだまだ存在する。従って当記事では、追加で10作品を“もっと”知って欲しい!と称して紹介する。
インディーゲームやマイナーゲームの定義については、前回の記事を参照してもらいたい。
なお、当記事以降もインディーゲームのレビューは増え続けていくので、気になった人はタグからの絞り込み機能で確認してもらいたい。2023年5月現在、インディーゲームのレビューは96本。
次から次へと登場する新作インディーゲームの情報は、週1回更新しているゲームニュースのまとめにて紹介中。
変わり種なローグライク
欠点は見た目だけ!出自の良く分からない、どうやっても卵にしか見えないポテトを主人公にしたサバイバーズ系の作品。プレイヤーが出来ることは移動だけというサバイバーズ系ではお馴染みのゲームスタイルだが、デッキ構築型ローグライクの要素を多く取り入れており、とにかく育成が奥深い。サバイバーズ系の作品はキャラクターが多く用意されていたとしても、強化が進むゲームの終盤には“やっていることはどれも同じ”というプレイフィールに陥りやすい欠点を持っている。しかし、本作に用意された38種類のキャラクターは全く異なる特徴を持っており、何回でも新鮮な気分で遊ぶことが出来る。本家ヴァンパイアサバイバーズを軽く超越した神ゲー。大切なことなのでもう一度書いておくと、“欠点は見た目だけ”である。
ターンエンドに降ってくるテトリミノ(テトリスで落ちて来るブロック)の上を歩いて戦う、ターン制RPGと落ち物パズルの融合作品。ターン毎にスタミナの回数だけ動くことができ、1回攻撃すれば1ダメージを与えて1ダメージの反撃を受けるという非常にシンプルなバトルに、一撃必殺のライン消しとキルストリークによる攻撃力上昇システムをミックス。敵やアイテムの位置を調整する落ち物パズルとターン制RPGが意外と噛み合っており、見事に知的に遊びとして昇華している。なお、本作はローグライクを謳っているが、落ちて来るブロックにランダム性が無いうえにシードも存在しない。ランダム性が無ければローグライクを名乗るべきではないと思いきや、プレイヤーが気まぐれにブロックを落とすのでやはりランダム性は存在してローグライクなのかもしれない。しかし、各ステージの最適解が見つかった瞬間に、その再現性からローグライクでは無くなる。“ローグライクとは?”という部分に哲学的に語り掛ける作品。
ターン制RPGをローグライク化することは良くある話だが、本作はそこに更にパチンコ要素を混ぜ込んでいる。そして、本作の構築要素はパチンコの玉だ。玉の特性とクギ配置から反射を予測して玉を射出し、反射した回数だけ攻撃力がアップして敵モンスターを攻撃できるという、まさに射幸心を攻撃力に転換するRPGである。玉を完全にコントロールすることはできないので、玉が予想以上に反射を繰り返して大ダメージを与えたり、全く反射せずに奈落に玉が吸い込まれてザコ敵すら倒せないなど落差が大きい。ターン毎に一喜一憂しながら、大きく期待値を上回ってきたときの興奮に身を委ねたい人にオススメ。
芸術点で勝負するタイプ
一言で表現すれば、立方体でプレイするGorogoaである。Gorogoaの経験者であれば、そう聞いた時点で興味津々だろう。全く異なる絵が描かれたキューブを回転させ、絵の拡大縮小を繰り返しながら接点を見つけ出し、絵が繋がると絵が動き出してストーリーが進行していくというパズルゲーム。難易度がかなり高めに設定されているため、解法ビデオがゲーム内に用意されている。ただし、ビデオの前にヒント機能があり、さらにヒントのヒント的な注目すべきオブジェクトのハイライト機能も用意されている。いきなり答えを見ると意味が無いので、自分なりのルールを設定してパズルを楽しみたい。
1950年代に公開されたSF映画“風”に作られたレトロ調の横スクロールシューティングゲーム。1950年代の映画など正直なところ全く知らないが、それでも妙な説得力を感じてしまう渾身の白黒グラフィックと、敢えて安っぽく作られた実写パートは見応えあり。白黒映像のうえに昔のSF映画にありそうな嘘くさい火花や怪光線が入り混じるので、シューティングゲームはとにかく見難くてプレイしにくいのだが、そのようなプレイ環境も含めて作品の一部である。なお、シューティングパートは見た目に反して、アビリティの付け替えや性能強化などのカスタマイズが充実しており近代的。ローカル2Pプレイにも対応。
可愛い動物たちのコミカルなストーリーだが、“犯罪”や“違法”といった事件性を孕んだキーワードがチラホラと登場する、ゲームボーイリスペクトなアドベンチャーゲーム。ただし、シリアスな場面は少しだけで、多くはギャグ寄りな内容となっている。ゲームボーイ全盛期にハード的な制約の下で頑張って作った“風”に仕上げたようなシーンが散見され、そのような演出を見てニヤニヤ出来る人には刺さる。パッケージ版のLimited Editionには、実際に遊べるゲームボーイカートリッジが同梱されている。未だにゲームボーイを愛する人だけを狙った作品な上に、ゲーム途中にエラー落ちが多いので万人には進め難いが筆者は気に入っている。
操作精度が重要なタイプ
射撃がメインのFPSでありながら、肝心の銃火器を捨てる対価として移動系スキルを発動させて移動する3Dプラットフォーマー。単純にクリアするだけはなく、高速かつスタイリッシュにステージを疾走して気持ち良くなることが真の目的。高スコアを取るためには、FPSのエイミング精度に合わせて、スピーディーでフワフワとしたキャラクターの挙動を制御する能力も要求される。上達には何度もリトライが必要となるが、最高ランクでクリアすることが出来た時の達成感は大きい。高難易度なFPSと3Dプラットフォーマーを同時に楽しみたい人にオススメしたい。なお、1ステージは長くても2分ぐらいなので遊びやすい。
ディーゼル機関が高度に発達したディーゼルパンクという世界観で、身の丈ほどもあるエキストラアームを操るウサギが主人公という、ビジュアル方面で非常にキャッチーな探索型アクションゲーム。しかし、本作で何よりも注目したいのは、オリジナルの打撃コンボを産み出す楽しさだ。サイドビューの探索型アクションゲームでありながら、格闘ゲーム並に敵を浮かして追撃することができるコンボ機能が用意されている。コンボの派生ルートが豊富なうえに、巨大な拳以外にも同じく規格外の大きさのドリルやカッターを使うことができ、さらにそれらをコンボ途中に切り替えることも可能。お手軽操作でコンボを繋ぐことは出来ないが、案山子を相手に練習したコンボが強敵に決まると快感だ。
特定の需要を満たすタイプ
ハードなゲームに疲れたら何をするか?外に出かけて街を散策しても良いし、本を買ってきて読書をしても良いだろう。音楽を聴いたり映画を見ても良い。しかし生粋のゲーマーが求めるのは、息抜き用のゲームである。本作は終末世界を黙々と航海し、たまに簡単なパズルをクリアして心落ち着かせるという、まさに息抜きに最適な作品である。深く考えずに美しい世界と音楽を堪能しながら、情報量の少ない世界を旅するのも偶には良いだろう。テキストも用意されておらず、直感だけでプレイできるうえに、クリアさせないという意思を全く感じさせないので、プレイして疲れることは絶対に無いだろう。
ダークファンタジーと西部劇が融合した異質な世界で、プレイヤー自身が善悪の判断を下すことで変化していくストーリーを楽しめるツインスティックシューター。ある程度は自由度の高いゲーム遊びたいが、50時間とか100時間かかるオープンワールドゲームは疲れるという人に最適な作品。登場人物を生かすも殺すもプレイヤー次第な自由なストーリーを、クリアまで20時間もかからない手頃なボリュームで楽しむことが出来る。ダークファンタジーと西部劇の組み合わせは異色だが一切の違和感がなく、西部劇という世界観の懐の広さを感じることもできるだろう。これらの組み合わせは他の作品でも見てみたい。
インディーとインディーズという表記のブレについて
“インディー”と“インディーズ”、どちらも同じぐらいの頻度で見かけると思うが、どちらが正しいかと言えば前者の“インディー(indie)”である。
インディー(indie)とは、independent(形:独立している,名:独立している人や物)が語源となった、独立資本の会社(名詞)または独立資本や自営である状態(形容詞)を示す単語だ。それを単に複数形にしたものがインディーズ(indies)である。
従って、あるゲームを論じている際に、“このゲームはインディーズだ”ということは誤りである。一々説明するまでも無いと思うが、その理由は単数形と複数形が入り混じってしまっているからだ。
幾つかの作品を論じている際に、“これらの作品はインディーズだ”ということは間違いではないが、“外部から資本提供を受けずに製作された”という概念を現わしたいのであれば“インディー”が正である。
“インディーズゲーム”のような“インディーズ〇〇”という言葉は、英語を理解していない人の誤用なので使わないように注意したい。(“インディーズ〇〇”は海外では通じない。)
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