点数評価 | 60点 |
クリア時間 | 約6時間 |
プレイ状況 | 3キャラクターでクリア 2023/10/6版アーリーアクセス |
プレイ時間 | 約7時間 |
発売日 | 2023年10月6日 |
対応機種 | Steam |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | Live Wire |
発売元 | Live Wire |
ジャンル | ローグライトカジュアルアクション ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
9th Sentinel Sistersは、『ENDER LILIES』に携わったLive Wireが開発したということで期待していたが残念な結果となった。ローグライトでカジュアルアクションということだが、サバイバーズ系のゲームは簡易化するよりも、オリジナル要素をどれだけ投入できるかが肝心である。低改造でストレスをためながら何とかクリアするという部分以外に、何処に楽しさを見出せば良いのか理解できなかった。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
爽快感も無ければ、シナジー構築の楽しさもない
9th Sentinel Sistersは、2D探索型アクションRPGの名作である『ENDER LILIES』に携わったLive Wireが開発した、いわゆるサバイバーズ系に分類されるアクションゲームだ。当サイトのレビューでも、ENDER LILIESは神ゲーに分類されていることから、大きな期待を寄せていたのだが、結論から言うと、はっきり言って期待外れな結果になってしまった。
Live WireはBinary Haze Interactiveのグループ会社。Binary Haze Interactiveはアドグローブの100%子会社。
9th Sentinel Sistersが公称するゲームのジャンルはローグライトカジュアルアクションだ。全方位から迫りくる敵を迎撃し続けて一定時間耐えればステージクリアとなる“サバイバーズ系”の作品であり、広義ではローグライクに分類される作品だ。
この手のサバイバーズ系に重要なのは、敵を無双することによる爽快感だ。序盤はひ弱な主人公も、武器やアイテムのシナジーを上手く積み上げることで、制限時間の終盤には迫りくる敵の大群を無双して粉砕する爽快感を味わうことが、サバイバーズ系の醍醐味だろう。
しかし9th Sentinel Sistersの場合、自機の移動速度がとにかく遅く、それに加えて武器の発射レートが低い。そして、攻撃方向をプレイヤーが調整できるのは良いものの、レティクルが無く何処を狙っているのか分かりずらい。自機がそのようなポンコツにもかかわらず、敵は高速で編隊を組んで突撃してくるので、位置調整もままならない状況で一発外せば被弾は避けられないというゲーム性になっている。
せめて、同じサバイバーズ系の『20 Minutes Till Dawn』のように、自身のタイミングで攻撃をトリガーできれば良かったのだが、それも出来ないので緩慢な動作で被弾の度にストレスが貯まっていくサバイバーズ系といった印象だ。
全体的に高難易度な本作だが、視認性の悪さから思わぬダメージを被ることがあり、プレイヤーのストレスの蓄積に拍車をかける。高難易度なのは結構なのだが、プレイ外の要因で難易度が上がるのは不快でしかない。
アーリーアクセス版ということでボリュームについては言及するつもりは一切ないが、このサバイバーズ系にもかかわらずストレスが貯まるというプレイフィールは、ゲームのデザインが根本が間違っているのではないだろうか。アーリーアクセス版特有の問題では無く、改善の余地があるのか疑問である。
本作は本家ヴァンパイアサバイバーズと同様に、レベルアップ時には幾つかの候補から武器やパーツを選択することで、攻撃手段を増やしたりステータスを向上させることができる。
武器とパーツはいずれも6種類装備することが出来るのだが、この手のローグライクゲームで肝心となる、武器やパーツ間のシナジーというものが存在しない。そのため、敵の強化に合わせてこちらも数値を上乗せしていくだけの遊びになっており、ローグライクゲームの成功体験の核となる“上手く選択肢を選んだ”という喜びを一切感じることは出来ない。本作は“カジュアル”アクションを名乗っては居るものの、サバイバーズ系のローグライクゲームからシナジーを除去すると、そこに残っているのは虚無な自動攻撃ゲームでしかない。
“引き算の美学”という考え方があるが、サバイバーズ系は元々がシンプルなのでこれ以上引く必要は無い。むしろオリジナリティとして何を盛るべきなのかを考えることが重要。
カジュアルの意味を履き違えたような本作だが、その一方でパーツの選択には少しばかりコツが要る。パーツにはレアリティが設定されており、レアリティが高いパーツの方が当然ながら効果が高いので、出来るだけレアリティの高いパーツで固めた方が良さそうに見える。しかしそう見せかけて、実は低レアリティのパーツも一つは取っておいた方が良いという、どう考えてもカジュアルではない罠のような仕様が用意されている。何故なら、レアリティの高いパーツは効果が高いものの、重複して入手できる回数が低く設定されているので、ゲームの終盤になると重複上限に達してしまい、レベルアップの意味が無くなってしまうからだ。それを回避するためには低レアリティパーツが必須となるのである。
また、本作には回復アイテムが存在せず、本家ヴァンパイアサバイバーズのように、レベルアップ時に選択肢がない場合に回復アイテムを選ぶような仕様でも無い。そのため、武器やパーツが重複上限に達すると、レベルアップが完全に無駄になってしまうのだ。
本作のゲームの進行には、Slay the Spireのようなルート分岐によるステージ選択制が採用されているのだが、選択する意味が殆ど存在しない。本来この手のルート分岐は、ボスに至る過程にてどれだけリスクを取ってエリートと戦うのか,どのタイミングでザコ敵に逃げるのか,イベントマスにて運否天賦で一発逆転を狙うなど、分岐を見ながら考える楽しみがあるものだ。
しかし本作は、エリートと戦闘したところでレリック的な強化アイテムが手に入る訳でも無く、イベントマスも武器やパーツが手に入るだけで、プレイヤーに大きく有利に働く何か特別なイベントが発生することは無いし、マイナスイベントは一切用意されていない。
加えて、1回の戦闘が2分~4分と長く、前述の通り爽快感が無いので苦痛が長時間続くだけだ。減った体力は持ち越されるうえに回復アイテムがそもそも存在しないので、戦闘マスは極力避けてイベントマスで強化を積むことが常に最適解となっている。このように分岐に殆ど意味が無いのであれば、BrotatoのようなWave制を採用した方が良かったのでは無いだろうか。
バランス崩壊する機体改造と武器改造
さて、前項にて“無双できない”と記載したが、それはローグライクゲームではお馴染みの恒久的なバフに相当する、“機体改造”と“武器改造”を行わなかった場合だ。
本作ではステージの中の選択肢やクリアの報酬にて“ジャンク”と呼ばれるゲーム内通貨を手に入れることができる。ジャンクを消費することで、機体や武器を改造して自機の性能を底上げすることができるのだが、この改造による恒久的なバフが非常に強力なので、これらを積み上げることで本作は高難易度ゲームから低難易度ゲームへと変化する。
サバイバーズ系に限らず、広義でローグライクに属するゲームは、武器やアイテムの取捨選択で上手くシナジーを発揮できれば、プレイヤーはゲームを優位に進めることが出来るようになる。そのため、プレイヤーは様々な組み合わせを探求することに楽しさを見出し、運が下振れした際に次善のビルドに乗り換えることができるかどうかが腕前の見せ所となる。
しかし、本作の場合は恒久的なバフさえ取れば簡単に無双できるようになってしまうため、何の工夫も無くひたすらにジャンクを集めて機体と武器を強化するだけのゲームになってしまっている。
本来の恒久的なバフの位置付けは、選択肢の幅を広げたり序盤の立ち上がりを安定である。ローグ“ライト”を名乗ろうがそれは同じのはず。
なお、この機体と武器の改造だが、上限まで改造した後に“ランクアップ”という項目にジャンクを投入することで、改造の上限が拡張される仕組みになっている。上限を開放しなかった状態であれば、焼け石に水のような効果しか得られない。筆者の場合、ランクアップの存在に気が付かず初期ランクのままプレイを続けたため、クリアまでに6時間かかった。ランクアップすれば、恐らく半分の3時間ほどでクリアできると推測する。
美少女要素は何処に行った?
9th Sentinel Sistersはメインビジュアルに示される通り、登場するキャラクターには美少女が採用されている。登場する3人の美少女達は対エイリアン用に産み出されたクローン兵器であり、ハードな生い立ちの華奢な見た目の美少女が武骨なメカに乗って戦うという、如何にも日本のゲームやアニメに採用されそうな設定が用意されている。ゲーム本編の出来が悪かったとしても、キャラクターを全面に押し出した演出が用意されていれば、そちらを目的に買ったプレイヤーを満足させることができるだろう。
しかし、そのような設定が折角用意されているにもかかわらず、本作のプレイ中にこれらの美少女達は殆ど登場しない。美少女達の出番は、キャラクター選択画面を除くと、戦闘開始時や被ダメージ時に左上に小さく顔グラフィックとセリフが表示されるだけであり、ボイスも用意されていないので存在感は無いに等しい。ルート分岐の先でイベントが発生すれば1枚絵が表示されたり、ボム的な用途の必殺技を使うことが出来て発動時にカットインが大きく挿入されるなどすれば、キャラクターの設定も生きて来ると思うのだがそのようなものは一切存在しない。
このように9th Sentinel Sistersは、サバイバーズ系において無双する爽快感もなく、シナジーを取捨選択する楽しみも無く、キャラクターも活きて来ないので、最早何を楽しんで良いのか理解できない作品だ。
評価ポイントのまとめ
アーリーアクセス版ということで、ゲームのボリュームについては今後膨らんでいくのだろうが、根本的なゲームデザインの部分に手を加えなければ高評価は得られないだろう。
長所
- グラフィックが良い
- 音楽が良い
短所
- 爽快感が無い
- 無双感が無い
- ランクアップすると負けようが無い
- UIが悪い
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